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年末の格闘技はどこが勝つ?
井岡のTBS、メイウェザーのフジ。
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byKyodo News
posted2018/12/29 17:30
井岡一翔は4階級制覇に挑む。父と決別して迎える初の年末年始を勝利で飾ることができるだろうか。
TBSは復帰した井岡で海外開催。
TBSはどう出るのかと思っていたら、なんと井岡が7月に現役復帰を電撃表明、9月にアメリカで世界ランカーに勝利したことで世界タイトルマッチ開催の道筋が開けた。
ただし、ジム移籍問題にめどが立たない井岡は日本国内での試合が難しい状況となり、これをマカオ開催という力技で乗り越えることになる。手間も経費もかかる海外開催を現実にしたのは、TBSの情熱と井岡のスポンサーの力にほかならない。
< 12月31日 マカオ・ウィンパレス >
WBO世界スーパー・フライ級王座決定戦
ドニー・ニエテス(比)vs.井岡一翔
WBA世界ライト・フライ級タイトルマッチ
スーパー王者・ヘッキー・ブドラー(南アフリカ)vs.挑戦者・京口紘人(ワタナベ)
IBF世界フライ級タイトルマッチ
王者・モルティ・ムザラネ(南アフリカ)vs.挑戦者・坂本真宏(六島)
※井岡と京口の試合をTBSで生中継。京口は関東ローカル。
井岡の相手は過去最強のPFP10位。
フジの伊藤は今回が凱旋試合、ゴールデンタイム初登場ということでもあり「いいところを見せよう」と空回りが心配だが、初防衛戦はとにかく勝つことが大事。まずは勝利に徹して来年につなげてほしい。
拓真の試合も家族や兄弟のストーリーとしてファンに訴えるものがあるだろう。偉大な兄の陰に隠れ続けてきた弟がついに世界のベルトを手にする―─。
勝利を手にしたときの尚弥や父の真吾トレーナーの姿も注目だ。
TBSの看板選手である井岡はこの試合に日本人選手初の4階級制覇をかける。相手のニエテスは百戦錬磨のベテランで同じくこの試合に勝てば4階級制覇だ。権威ある米老舗ボクシング誌「リング」のパウンド・フォー・パウンド・ランキングで10位にランクされており、井岡にとっては過去最強相手であることは間違いない。玄人好みの両者が繰り広げる一戦は、これぞボクシングという見ごたえある内容が期待される。
井岡の露払いを務める京口は元IBFミニマム級王者で、この試合に2階級制覇をかける。軽量級離れしたパワーが曲者王者であるブドラーに通用するのか。ジムの先輩でもある田口良一が奪われたベルトの奪還に挑む。