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宇佐美貴史はブンデス最下位に抗う。
「代表を見ている場合ではない」
posted2018/12/18 11:30
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph by
Getty Images
12日に発表されたアジアカップのメンバーに、宇佐美貴史の名前はなかった。報道によればメンバー発表の数日前に森保一監督は香川真司、宇佐美に関して「日本代表の貴重な戦力」と話している。
先の欧州視察中に彼らと面会したことを踏まえての話だったのだが、選出とはいかなかった。9月から3カ月連続で行われた日本代表合宿、キリンチャレンジカップに招集されていないのだから仕方ない。
宇佐美自身は、発表の数日前に代表への思いをこんな風に語っている。
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「代表は、意識は常にしてますよ。ただ自分の状況を見てもチームの状況を見ても、まずはチームでどういうプレーをするかというところが重要だと思います。代表を見ている場合ではないような状況なので。何も代表について語れることはないです」
6月、ロシアでW杯出場は果たした。セネガル戦では途中出場し、ポーランド戦では先発出場した。主力だったとは言い難いが、大きな経験を得たのだから次の代表に生かすべき役割を担っている選手だ。
欧州では最高のシーズンだった昨季。
1992年生まれの26歳。30歳で迎えるカタール大会ではチームを牽引する立場だし、それができるはずなのだが、まだ森保ジャパンからお呼びはかからないというのが現状だ。
昨季の宇佐美は、ドイツに来てから初めてと言っていいほどの充実した時間を過ごした。アウクスブルクから2部のデュッセルドルフにレンタル移籍し、28試合8得点。チームで3番目の得点数を挙げ、優勝と1部昇格に貢献。これがW杯への道を切り開いた。後半戦は原口元気も加入し、楽しそうな笑顔も頻繁に見せていた。
今季原口はハノーファーへ移籍したが、宇佐美はデュッセルドルフへの残留を希望した。保有権を持つアウクスブルク側もシュテファン・ロイターSDが手放すつもりはないと発言し、綱引き状態が続いた。結局、8月に入りようやく宇佐美はデュッセルドルフで今季を戦うことが決定した。形は昨季までと変わらず、アウクスブルクからのレンタルという立場だ。