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松山英樹の誤球騒動と895万円。
それでも当事者と後輩が得たもの。

posted2018/11/23 09:00

 
松山英樹の誤球騒動と895万円。それでも当事者と後輩が得たもの。<Number Web> photograph by Yoichi Katsuragawa

松山英樹(右)とは大学時代の先輩・後輩の関係に当たる比嘉一貴。

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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Yoichi Katsuragawa

 とってもイジワルな見方をすると、895万円の損失である。

 11月、宮崎で行われた日本ツアーのダンロップフェニックス。今季1勝の星野陸也は通算12アンダーの4位タイで終えた。優勝した市原弘大には3打及ばなかったが、週末に見せた66、65の巻き返しは、存在感をしっかりと残すものになった。

 だからこそ、ひねくれた“タラ、レバ”も周囲の頭には浮かぶ。あの2ペナルティが、なけレバ……。

 事件は初日に起こった。松山英樹、そして石川遼を交えた予選ラウンドの3サム。出だし5ホール目の14番、ともにティショットを左ラフに落とした松山と星野は、2打目で互いのボールを間違えて打つ規則違反をおかした。

 芝で隠れた球をともに自分のものだと勘違いしたのだ。

 先に打った松山が「陸也に申し訳ない」と責任を背負いこむと、22歳も「僕が先に気づいていれば……」と恐縮しきり。規則通り2罰打を加えて、正しい場所から打ち直し、ともにダブルボギーでこのホールを終えた。

 4日間のわずか1打で賞金が変わるプロの世界。上位になればその差はより顕著になる。星野が4位の成績で実際に手にしたのは785万円。仮にこの2ペナがなかったら、単純計算で堀川未来夢と並んで1打差の2位タイとなり、1680万円を掴むはずだった。

松山と一緒に回れた収穫。

 それもまたゴルフである。反省はすれども、今さら悔やんでも仕方がない、というのは本人たちが一番よく分かっている。「最初の最初(初日の前半に起こったこと)なんで。逆にあれがあったから、巻き返して初日1オーバーで終われたかもしれないですから」。星野は淡々と言った。

「いい経験」とドライに捉えられるのも、失った2ストロークにも勝るとも劣らない、貴重な収穫があったからだった。

 米国でプレーする松山とは、この時が初めて一緒にプレーする機会だった。身長181㎝の松山を見下ろす長身をしならせて打つ1Wショットを持ち、日本ツアーで瞬く間にロングヒッターの仲間入りをした。風に強く、ランがよく出る低弾道が特長である。

 それでいてボールを左右から曲げる器用さを持ち合わせている。そもそも初日、松山が星野のボールを誤って先に打ったのも、「僕の方が飛ばないだろうという推測」があり、2打目に多く距離を残している方を自分のものだと思い込んでしまったことも原因だった。

【次ページ】 「なんだかんだで負けている」

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