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「45歳まで現役でバレーを続ける」
清水邦広は全治12カ月にも前向き。

posted2018/11/14 07:30

 
「45歳まで現役でバレーを続ける」清水邦広は全治12カ月にも前向き。<Number Web> photograph by Yuko Tanaka

今年2月、選手生命を脅かす大怪我を負ったが、地道にリハビリに励み、復帰を目指す。

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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Yuko Tanaka

 試合開始40分前。松本市総合体育館のグッズ売り場に人だかりができていた。

 今季からトップカテゴリーに昇格したVC長野トライデンツのホームゲームだというのに、興奮気味にスマートフォンを手に、小走りの親子が口々に言うのは「長野」ではなく別の名前。

「清水さんがいるよ!」

 新生Vリーグと銘打つ今季、各チームがオリジナルのグッズ販売を会場でも積極的に展開する中、「パナソニックの応援よろしくお願いします」と写真撮影やサインに応じる頭1つ、いや2つ抜けた大男。親子の目当てで、人だかりの中心にいたのは清水邦広だった。

 10分ほど売り場に立つと、メインアリーナで試合に向けた準備をする選手たちを横目に、清水はサブアリーナへ。試合が始まってからも黙々とジャンプやダッシュで、汗を流す。

「最初は『こんな動きできるかな』って不安があったし、自分のイメージと比べてめちゃくちゃ遅い。そういうところに焦りもあったんですけど、でも地道にリハビリする中で少しずつ動きがはやくなったり、スムーズになって、1週間後の自分が1週間前の自分より確実に動きがよくなっているのを実感できるんです。だから今は、リハビリで少しずつ動きがよくなるのがモチベーションですね」

 リハビリの強度が上がれば痛みも生じ、腫れもする。だが、それも前に進んでいる証。

 あの日から9カ月が過ぎた今。やっと、心からそう思えるようになった。

最初こそ「もう先は見えない」。

 2月18日。昨季Vリーグファイナル6の試合中、清水はスパイクの着地時に体勢を崩し、右膝を負傷。そのまま起き上がることもできず、右膝前十字靭帯断裂と診断された。加えて内側側副靭帯損傷、半月板損傷、軟骨損傷や亜脱臼も併発。全治12カ月の重傷だった。

 すぐに手術を敢行し、入院中からリハビリを開始。順調な回復を見せていたが、退院して間もなく感染症で再入院。ようやく1つステージをクリアしたと思われた矢先の出来事だったことに加え、感染の原因がわからず、同様の症例はほとんどない。ケガをした直後と同じか、それ以上に落ち込んだ、と振り返る。

「さすがに、もう先は見えない、と。何で俺ばかりと思ったし、誰とも喋りたくない、誰とも会いたくない時期もありました」

【次ページ】 3万羽にも及んだ折り鶴。

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