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浅尾からサファテへの返信。酷使か、
美談か。今こそ“投げ過ぎ”を考える。 

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小西斗真

小西斗真Toma Konishi

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photograph byKyodo News

posted2018/08/30 08:00

浅尾からサファテへの返信。酷使か、美談か。今こそ“投げ過ぎ”を考える。<Number Web> photograph by Kyodo News

2011年に79試合、45ホールド、防御率0.41でMVPとなった翌年から右肩の違和感に悩み、登板数が減少。昨季は4試合だった。

意気に感じる投手に甘える構図。

 金足農の吉田であれ、浅尾であれ、日本の投手はチームや監督に頼られることを意気に感じる。アドレナリンも出ており「頼む」と言われれば「わかりました」となる。少なくともその場では「故障するかも」とは考えていないだろう。むしろその瞬間は「つぶれても本望」とすら思っているかもしれない。

 昨年の日本シリーズ第6戦では、サファテが3イニングを投げ、アメリカ人にも「男気」があるところを見せつけた。だが、それはあくまでも例外中の例外なのであって、日本人は常に「男気」を発揮しようと奮闘し、指導者はその「男気」に甘えてしまう。サファテら外国人の目には、そこが奇異に映り、高校生にいたっては「虐待」にすら思える。

「スポーツに故障はつきもの」と言われる。それはひとつの事実だが、故障は病気と同じだと考えたとき、病を押してでも投げろと言うだろうか。ましてや登板過多は防げる。高校生なら日程緩和、プロならおそらくサファテなどがそうしているように「連投は○試合まで」という契約を盛り込むことでベンチに歯止めをかけられる。サファテの言う「自分の肩を守れ」である。

7年前の自分にアドバイスするなら。

 今投げられる最高の球で、精一杯の勝負をしている浅尾に過去への悔いはない。それでも、あえてこう尋ねた。「7年前の自分にアドバイスできるとしたら、なんて言ってあげますか?」と。浅尾の「返信」を最後に紹介する。

「あのころの僕に何かを言うとしたら、肩を休ませることは大事だけど、シーズンの100の状態からオフに一気にゼロに落とすのは考えた方がいいよってことですかね。僕は春先に肩をつくるのが下手で、必ず痛めていたんです。オフは何もしないのが休ませることだと思っていたので。それと鳥取(トレーニング研究施設のワールドウィング)には早く行ってみる方がいいよと伝えます」

 野球人生は一度きり。浅尾がすさまじい炎を燃えあがらせたのは間違いないが、もっと長く燃やせたはず。浅尾は同情されるような悲運の男では決してないが、日本球界はサファテの意見にももっと真剣に耳を傾けるべき時期にさしかかっている。

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