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日本サッカーにジュニア育成革命を!
ダバディが知るフランス式の真髄。
text by

フローラン・ダバディFlorent Dabadie
photograph byTakuya Sugiyama/JMPA
posted2018/08/23 08:00

ロシアW杯での日本の戦いぶりは人々の心を打った。ただその一方で強豪国はムバッペらさらにスケールの大きい選手を育成しているのも事実だ。
指導者に必要なサッカーを見る目。
この20年間、フランスの指導法を勉強してきた日本人指導者は少なくありません。そのうちのひとりはこう語ります。
「やはりフランスの指導者は、サッカーを見る目を持っている。若い選手たちの長所と短所をすぐに見抜き、具体的に彼らのサッカー頭脳をピンポイントで引き出す能力があります。ボールをどこで止め、オフ・ザ・ボールでどう動き、どうやって正しい弾道のスルーパスを出すのか、といったことを職人のように教える。
もちろん日本にもフランス人に負けない優秀な指導者が増えましたが、フランスはそれがどのカテゴリーにも大勢いる。それが強みだと思います」
私もトルシエ監督の通訳時代や、フジテレビ「マンデーフットボール」出演時代に、山本昌邦や風間八宏という日本のエリートコーチと付き合い、彼らのインテリジェンスに感動しました。
しかし、日本の草サッカーレベルでは彼らのような頭のいい指導者や選手に出会った経験がほとんどありません。フランスと日本の草の根レベルを比べると差は歴然です。私自身は両国で長年、毎週のように草サッカーやフットサルを楽しんできましたが、日本の方々はボール扱いの技術は確かに高いと思います。
育成を優先すべきは7~14歳。
ただ、ポジショニングやオフサイドトラップのような戦術、対人での手の使い方などは、どうでしょうか。フランスではどんなに弱いチームでも最低限のオフサイドトラップやゾーンディフェンスを実践しています。
情報の問題、あるいはサッカー文化の違いかもしれませんが、そのギャップを埋められないはずはありません。
日本で育成を優先するべきカテゴリーは、7歳~14歳のジュニアたちでしょう。
実は日本テニス協会も2016年の秋にフランステニス連盟とパートナーシップを結び、フランスからジュニア育成の教本使用の権利を得て、日本語に翻訳しました。
また、フランステニス連盟のエリート指導者を東京と大阪へ呼び、その育成法を日本人に講習しています。日本サッカー協会(JFA)も、かつては福島のJヴィレッジにINFのトップ、デュソー氏やメレル氏を招待してきました。