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大阪桐蔭の6番が「自分は底辺」。
禁止のはずのヘッスラに真髄を見た。 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph byHideki Sugiyama

posted2018/08/18 14:30

大阪桐蔭の6番が「自分は底辺」。禁止のはずのヘッスラに真髄を見た。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

高校野球界の頂上にいる大阪桐蔭の選手たちだが、エリート然とすることは決してない。誰よりも勝利と成長に飢えているのだ。

出ていなくてもチームの勝利を喜べる?

 北大阪大会の決勝でも23-2と、これでもかというほど最後まで攻め続けた。

「これだけ開いているので、周りからみたら、楽なように見えるかもしれませんが、決勝戦なので楽なことはなかった」

 西谷監督はそう振り返ったものだ。

 石川は9回表に、さらに11点目となるソロホームランも放っている。公式戦初本塁打でもあったのだが、かといって、浮かれた様子はまったくない。

「個人的に結果を出したいという思いもあったけど、チームが勝てばOKなので」

 そう思えるようになったのは、昨秋、神宮大会の準決勝で創成館(長崎)に4-7で敗れてからだという。

「それまではみんな個人のことばかり考えていた。でもその晩、このままでは選抜では勝てないとみんなで話し合った。あそこから変わりましたね」

 石川に、もし自分が試合に出ていなくてもチームの勝利を喜べるのか尋ねたら、「出てるのでわかりませんが……」と語ったが、そうなったら自分に嘘をついてでも喜べると言いそうな気配だった。

「自分は底辺の選手だと思った」

 大阪桐蔭は中学時代は、エリートだった選手ばかりだ。石川もボーイズリーグ日本代表の4番を任されていたほどの選手だ。それでも、こう言う。

「自信はあるんですけど、技術的にはうまいと思ってないんで」

 こう素直に言えるのには、偉大なOBたちの存在がある。

「中田(翔=日本ハム)さんがグラウンドに来たことがあるんですけど、オーラがあって、自分は底辺の選手だと思った」

 王者が自分たちのことを「底辺」だと思えたら、もはや敵はいない。

<夏の甲子園 100回大会記念特集 PART II>100人のマウンド。

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