「フランチェスコはビューティフル」

　あの日から23年。その間、ウッズはメジャー14勝を含む米ツアー通算79勝を挙げ、世界中の注目を浴びてきた。

　その一方でモリナリは欧州ツアー5勝を挙げたものの、米ツアーでは今年になるまで勝利を挙げられず、メジャー制覇は一度もできず、大きな「初」をなかなか母国に持ち帰ることができなかった。

　ウッズと同組で回ったサンデーアフタヌーンに見事達成された、イタリア人による全英オープン初制覇、メジャー初制覇の偉業は、23年間黙々と努力と前進を続けてきたモリナリにゴルフの神様がようやく授けたご褒美だったのではないだろうか。

「'95年にコンスタンチノを見つめていた僕のように、今日の僕をたくさんの子供たちが見つめ、いつか自分もクラレットジャグを胸に抱きたいと思ってくれたら、僕はうれしい」

　そんなモリナリだからこそ、ウッズも心からの賛辞を贈った。

「フランチェスコは、ビューティフル」

　そう、全英制覇のみならず、モリナリの23年すべてが、ついに美しく輝いた。