「ルーキーの場合は状況が違う」

　スミスは言う。

「ユウタにとって優先順位で一番はNBAチームに入ることだ。代表のほうも出たいと彼が思っていることもわかっているし、そうできるように願っている。ネッツ、またはほかのどこのチームになったとしても、チーム側もサポートしてくれるとは思う。

　ただ、そこ（ミニキャンプ）にいないということは頭のなかからも消えるということだ。そこにいないということは、いいプレーをしていないということ。NBAやGリーグに入って2年目、3年目なら別だけれど、ルーキーの場合は状況が違う。そのあたり、注意深く考えなくてはいけない。彼の今の立ち位置を考えると、とにかく今の位置をキープしなくてはいけない。サマーリーグもプラスになるし、ミニキャンプに参加することもプラスになる。何より大事なのは彼にとって一番いい方法をみつけることだ」

　サマーリーグのチームとしてネッツを選んだことが結果的に成功だったように、NBAチームのやり方を知っている代理人のアドバイスは貴重だ。しかし、代表として戦いたいという思いも強い。どちらがいいのか、渡邊の悩みはつきない。

　そういった選択の悩みも、競争の厳しさも、すべてNBAに入るために本気で取り組んでいるからこそ、経験できることだ。今シーズンの所属先がどこであったとしても、渡邊はこの夏、間違いなくプロ選手としてのキャリアをスタートさせた。