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ラグビーW杯、東京五輪、そして医師。
福岡堅樹が描く文武両道の人生設計。
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byNobuhiko Otomo
posted2018/06/11 17:00
50m5秒7の豪脚をうならせて疾走した福岡堅樹。テストマッチ通算17本目のトライとなった。
五輪後はもう一度、医師になる夢を。
だが同時に、僕らはシビアな現実も認識する必要がある。それは、福岡堅樹のプレーを見るチャンスが、この先何度あるかということだ。
福岡堅樹はラグビーで世界を目指す一方で、開業医だった祖父の影響で、将来は医師になりたいという夢を持っていた。だが福岡高校3年のときは、現役での医学部受験に不合格。1浪後に筑波大の情報学群に入学した。しかし、医師になる夢は諦めていない。
「2019年のワールドカップと2020年の東京オリンピックまではラグビーに専念して、そのあとはもう一度、医師になる夢を目指します」
2015年の15人制ワールドカップのときは大学4年生。ワールドカップから帰国後に取り組んだ卒業研究のテーマは「画像処理における細胞状態の自動推定に関する研究」。負傷箇所の周辺の細胞が正常な状態か損傷状態にあるかを画像処理で判定する方法を確立すれば、将来スポーツ現場で働く医師となったときに役立つという思いで選んだものだ。
「トップレベルでの競技経験のある医師がいれば、選手も安心して診てもらえると思いますし」
魅力的な人生設計。だがそれは、競技からの早期の引退をも示唆する。
僕らはあと何試合、福岡堅樹のラグビーを見られるのだろう……。そう思うと、目の前で演じられる背番号11の躍動が、ことのほか愛しく思えてしまうのだ。