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競走馬は連闘でこそ能力を発揮する!?
安田記念注目の超良血馬と矢作師。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2018/06/02 08:00
モズアスコットが連闘で安田記念を勝てば、有効なローテーションとして見直される可能性も?
今年の安田記念にも連闘の馬が。
これほど強い馬が、なぜ、安田記念でオープン初勝利を挙げるまで、さしたる実績がなかったのかというと、脚元が弱く、ダートを使わざるを得なかったからだ。
「痛いところがなくなって、思いっきり走れるようになったんでしょう」と武。
バンブーメモリーは連闘だったから特別な能力を発揮したわけではなかったが、連闘で出走した安田記念で、名馬への道を歩みはじめた。
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今週の第68回安田記念(6月3日、東京芝1600m、3歳以上GI)にも、連闘でオープン初勝利を狙う馬がいる。モズアスコット(牡4歳、父フランケル、栗東・矢作芳人厩舎)である。
連闘で臨むことになったのは、特別登録の段階で出走順位が次点の19番目だったため、勝って賞金を加算すべく5月27日の安土城ステークス(京都芝1400m、オープン特別)を使ったからだ。ところが、坂井瑠星が騎乗したそこで2着となり、賞金を加算することができなかった。運のない馬なのかと思いきや、回避馬が出て、安田記念に出走できるようになった。
「連闘は、ぼくが最も得意とするローテーション」
滑り込み出走の馬は、なぜかGIで好成績を残すことが多い。また、矢作厩舎は「怒りの連闘策」で馬の能力を目覚めさせることでも知られている。
「連闘は、ぼくが最も得意とするローテーションです」と矢作師は、共同会見でも話している。
グランプリボスで2010年の朝日杯フューチュリティステークスと'11年のNHKマイルカップ、ディープブリランテで'12年の日本ダービーを勝っている伯楽は、モズアスコットに関して、さらにこう言う。
「ポテンシャルは疑いようがない。世界的な種牡馬にするためにもGIの勲章がほしい」
鞍上が、この馬で4戦2勝2着2回のクリストフ・ルメールというのも心強い。
その2回の2着は3走前の阪急杯と2走前のマイラーズカップで、どちらも、勝っておかしくない内容だった。