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あなたの日本ダービーの名場面は?
Number特別表紙にまつわる撮影秘話。
text by
薦田岳史(Number編集部)Takeshi Komoda
photograph byJRA
posted2018/05/18 08:00
『Sports Graphic Number』952号・「平成ダービー最強伝説」特集の表紙。裏表紙に続いた写真を使った特別版となっている。
傑作写真を撮影したのはいったい誰??
そうして最終的に絞られたのが表紙のドゥラメンテの写真と、特集内で今年のダービーを扱ったページのトビラに使用した、皐月賞でエポカドーロらを正面から撮った写真だった(Number952号24~25P、こちらは是非とも誌面でご確認ください!)。
その後、馬の躍動感やスタンドの歓声が聞こえてきそうなほどの臨場感、武豊騎手がインタビューのたびに語る「(競馬ファン以外も注目する)ダービーは晴れてほしい」という言葉通りの青空、ダービー日和であることも吟味し、表紙はドゥラメンテに決まったのだった。
ダービーのゴール前、内ラチ沿いに設置されたリモートコントロールのカメラで撮られたこの写真。撮影したのは、実はカメラは素人のJRA職員である。そのカラクリをJRA担当者が説明する。
「ダービーに限らず、JRA主催のすべてのGIレースで、ゴール前の内ラチ沿いの写真を私どもが代表して撮影しているんです。カメラを設置する場所が場所だけに、報道各社のカメラを何十台も置くわけにもいかないので。
馬が気にしないように芝の色と同じ、緑色のボックスにカメラを入れてアングルを調整し、当日の昼前にカメラをゴール前に設置しています。
その日の天候や芝の状態で、最後の直線、勝ち馬がどこからやってくるかも変わりますよね。内がのびる年もあるし、その逆もある。そういった細かな状況を吟味して、関連団体であるJRAフォトサービスに所属するプロのベテランカメラマンがアングルだけは決めています。
しかし、もし何らかの事故で写真が撮れなかった場合に、責任の所在をはっきりさせるために、本番の撮影、つまりゴール前に先頭の馬が来た時にカメラのリモコンのボタンを連打するのは、JRAの職員がやることになっています」
過去には、1周目の正面スタンド前でシャッター。
GIレースで、内ラチにリモートカメラが設置されるようになったのは今から40年以上前のこと。
昔は一度リモコンのボタンを押してしまうと、撮り直しができなかったため、あるダービーでは、1周目の正面スタンドを通るときに職員が緊張のあまり、誤ってボタンを押してしまい、ゴール直前の写真を撮り逃した年もあったという。