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ジュニア時代の指導者が語る、
中島翔哉、サッカー小僧の原点。
text by
海江田哲朗Tetsuro Kaieda
photograph byGetty Images
posted2018/04/06 11:30
マリ戦での三竿(写真中央)と中島。東京ヴェルディのスタイルは、彼らの中で脈々と生き続けていた。
中島と三竿が自然にこなした見事な連係。
三竿は本当に手のかからない選手で、必要なことは自ら率先して行う。おかげで何かを教え込んだ記憶がほとんどない。
「難しそうに見えることを、平然とやってしまうタイプ。中学受験で難関の立教池袋に合格したと聞かされたときもそうでした。たしかに賢い選手ではあったんですが、そんな様子はまったく見せなかったのに、いつ勉強していたんだろうとあっけにとられたものです」
マリ戦とウクライナ戦、永田が得点シーン以外で中島に着目したのは、狭いスペースでのターンにつながるパスワークである。
「背後に相手のマークがついている際、まずは遠いほうの足にボールをつけて一旦横にずらす。相手を動かしてプレーできるスペースをつくり、次にボールを受けたときは逆を取ってターンではがす。一見、何も生み出せないように見える空間を使えること、そこに空間が存在すると思えるのがうちの選手です」
パスの強弱をつけながら、相手をコントロールし、突破口を開く。
中島と三竿は、それをあうんの呼吸でやってのけていた。
「あらためてターンは効くんだなと思った」
東京Vのアカデミーで共有した時間はわずかで、トップに在籍した期間も重なっていない。だが、連綿と受け継がれてきた血脈によって、ふたりは意思を通わせる。
「翔哉のプレーを見て、あらためてターンは効くんだなと思いましたね。一時的にゴールに背を向け、ボックスの状況が見えなくなるため、少し先の未来をイメージする力が必要になってきます。
ゴール前は最も選手の色がつけられる場所。そこでむき出しのプレーをしなければ、見ている人は面白くないでしょう」