話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
5節までの戦績が降格した年と一致。
勝てないガンバの「ふんわり」問題。
posted2018/04/06 17:00
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
J.LEAGUE
「試合にふんわり入ってしまっている。柏戦もそうだったんで、そこは今回、修正しようと話をしていたんですけど……」
三浦弦太は、厳しい表情でそう言った。
ガンバ大阪はFC東京に2-3で敗れて、リーグ戦5試合を終えて1分4敗の最下位。国際Aマッチの中断期間にしっかりと修正してきたかと思われたが、この結果である。
試合にふんわり入ってしまったというのは、サッカーではよく聞く言葉だ。
クルピ監督はそのことを「集中力を欠いた」と指摘したが、ふんわり=集中力が欠けた状態であることは間違いない。
この奇妙な病は、サッカーだけに起こるわけではない。
たとえば陸上男子100mで9秒98の日本記録を樹立した桐生祥秀も、気持ちがふんわりしたままスタートに入ると、まず勝てないという。特に結果が出ていない時はいろんな邪念が生まれ、走ることに集中できないままレースに入り、また結果が出ないという悪循環に陥るというのだ。
今のガンバの選手にも、それが当てはまるのではないか。
今日は大丈夫だろうかという不安や、自分たちの戦いに確固たる自信が持てない状況がモヤモヤ感を生み、スイッチをうまく入れられずに試合に入ってしまう。誰かが「集中」を促せば気持ちを切り替えることもできそうだが、今のガンバにはそれを伝えられる選手がいない。結果、中途半端なプレーが増え、後手に回ることが多くなる。
すべてが後手に回る守備。
例えばFC東京戦の最初の失点だ。ディエゴ・オリベイラを使ってDFの背後に落とすプレーについて、三浦たちは分析済みだった。だが分かっていても裏に落とされ、永井謙佑を捕まえ切れずにシュートを打たれ、そのこぼれ球を東慶悟に決められた。こぼれ球に集中してクリアーできれば最悪の事態は避けられたはずだが、すべてが後手に回っていた。
2点目の失点は、セットプレーからだった。
横からのボールに対してガンバのマークが甘くなるのは、昨年からである。FC東京の選手は、それをわかった上でファーサイドに山なりのボールを上げた。ファビオとファン・ウィジョのゾーンの合間から森重が飛び込んだのだが、誰のマークかがあやふやになり、フリーで森重にヘディングを許してしまった。
ゾーンで守っているのに、どうしてフリーでやられたのか。失点後、ファビオら選手のリアクションから混乱しているのがよく分かった。