マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
センバツ屈指の投手王国、松山聖陵。
プロ注目の土居豪人だけじゃない。
posted2018/03/27 13:30
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
NIKKAN SPORTS
松山聖陵高のグラウンドにおじゃましたのは、2月の下旬。社会人野球・東芝の松山キャンプがたまたま1日だけ休日になって、ならばこの時! とすぐに決めて、松山聖陵高に向かったものだ。
エース・土居豪人投手(3年・190cm85kg・右投右打)の大器ぶりは、彼のピッチングを見て、スケールの大きな豪快投球に惚れ込んだある大学監督から聞いていた。
「たとえば去年の甲子園なら、北海の阪口(皓亮、ドラフト3位)。その前なら、近江の京山(将弥、ドラフト4位)。それぐらいの可能性は十分持ってますよ。本人が将来にどんなビジョン持ってるか知りませんけど、まあ、大学で欲しがるのは高望みなんでしょうけどね」
190cmの体を持て余していない。
歴戦の大学監督をそこまで惚れ込ませた大器は、グラウンドで「投内連係」の真っ最中だった。
ランナーを塁に置いて、ノックが右方向へ飛ぶ。と同時に、マウンドの投手が一塁ベースカバーに走る。打球を捕った一塁手、二塁手からの送球を受けると同時に一塁ベースを踏んで、そこで終わりじゃない。二塁に進み、さらに隙あらば三塁までもうかがおうとする走者の動きを止めるべく、サッと体の向きを切り換えていつでも刺しにいける体勢を作る、ないしは、三塁へ突入する走者に矢のような送球を送る。
土居豪人、190cmの大型だが、その長身を邪魔にしていない。
一塁ベースに入る動きも途中から歩幅を小さくした“小足”が使えて、ベースを踏んだ直後の動作の切り換えも機敏にできる。このサイズがあって高校3年になる春先なら、普通はもっとモタモタと危なっかしいものだが、それがない。
その一点だけで、十分に非凡さが想像できるというものだ。
入念な投内連係をおよそ2時間。走者の想定をなん通りも変えて、センバツを見据えた実戦練習の反復が続く中、土居豪人がブルペンに向かった。