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本田圭佑をVVVに推薦した“先生”。
吉田と川島に通じる名古屋での秘話。 

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中田徹

中田徹Toru Nakata

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photograph byJ.LEAGUE PHOTOS

posted2018/03/20 17:00

本田圭佑をVVVに推薦した“先生”。吉田と川島に通じる名古屋での秘話。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

名古屋時代、フェルホーセンの指示を聞く本田。当時からその才能は嘱望されていた。

主将とはお喋り上手である必要はない。

 フェルホーセンの慧眼だった。2008年1月、希望に満ちてオランダに渡った本田だったが、1部リーグ残留に失敗してしまった。しかし、彼には挫折を成長に変えるメンタルの強さがあった。

 2008-09シーズン、オランダ2部という日の当たらぬ舞台で、パサーからゴールゲッターへの変身を遂げる。そしてシーズン後半戦にはキャプテンを務め、最後はフェンロ市庁舎で優勝盾を掲げた。

 フェルホーセンが当時を回想する。

「キャプテンとはお喋り上手である必要はない。そのベースは“本物のプロフェッショナル”であること。試合や練習中、そしてミーティングでの振る舞い。メディアと対応する時の態度。監督との信頼関係。チームメートからのリスペクト――。こうした観点から、ヤン・ファンダイク監督(当時)は誰がキャプテンにふさわしいかチームを観察した。そして、本田を指名した。本田は真のプロフェッショナルとしてチームの規範となった」

本田、吉田、川島の人間性は素晴らしい。

 人間性を重視したフェルホーセンのスカウト術に、私が長年抱いていた1つの疑問が消えていった。

 その疑問とは「本田圭佑、吉田麻也、川島永嗣の3人は海外で、いくつもの困難にあいながら、必ず復活を遂げる精神力がある。この3人が名古屋でのプレーを経験した後に海外に渡ったのは偶然なのか? それとも必然なのか?」ということだった。フェルホーセンにこのことを問うてみると、期待通りの答えが返ってきた。

「必然だ。この3人の人間性は素晴らしい」

 吉田と川島も、名古屋時代にフェルホーセンの教えを受けた選手だった。18歳だった吉田が浦和戦でワシントンを84分まで完璧に抑え込んだ試合を、今もフェルホーセンは昨日のことのように覚えている。

「最後の最後にゴールを決められちゃったけどね。麻也のプレーは素晴らしかった」

 スマートフォンに保存された吉田の愛娘の写真を見せながら、フェルホーセンは目を細めた。

【次ページ】 「川島について、面白い話をしよう」

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