ROAD TO THE DERBY 2018BACK NUMBER
ルメール×藤沢和雄の黄金コンビ再び。
オブセッションで狙う2年連続の栄冠。
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph byKeiji Ishikawa
posted2018/03/14 07:00
外から楽々と差し切ったシクラメン賞の走りを出せれば、オブセッションは十分にクラシック候補の一角だ。
古馬相手にも楽に動けるようになった。
その後、12月8日にはノーザンファーム天栄に放牧されたが、年が明けて1月31日に美浦トレセンに帰厩。1カ月以上乗り込まれて迎えたのが3月4日に行われた弥生賞だった。
レース前、指揮官は次のように言っていた。
「ひと息入れて成長を促したこともあり、縦にも横にも身体が大きくなった感じです」
実際、レース当日の馬体重は前走比プラス8kgの518kg。もっともデビュー戦が516kgだったから、微増といったところか……。藤沢は続けた。
「調教に関しては、以前は動かないタイプだったけど、古馬相手にも楽に動けるようになってきました」
ここまでは良いことばかり、という感じだったが、相手が強化されることを問うと、少し慎重な発言が口から漏れた。
「中山でコーナーが4つというのも初めてになるし、不安がないわけではありません。クラシック戦線につながるくらいにはついて行って欲しいですね」
杉原が「奥の深い馬」と語った理由は?
その弥生賞の最終追い切りを任せられたのは藤沢の弟子にあたる、騎手の杉原誠人だ。
藤沢は以前よりは調教で動くようになったと語ったものの、オブセッションは見た目には決してシャープさを感じさせない。時計は南ウッドチップコースで5ハロン69秒台からラスト1ハロンが13秒フラット。ずば抜けて目立つ数字というわけではなかった。杉原は言う。
「跳びが大きくてチップだとぎこちない感じの走りになってしまいます。それでも実戦を想定した追い切りで、この馬なりには動いてくれました。2戦目の時も調教ではもさっと感じさせたけどレースへ行ったらレコードで勝ちました。動いていないようで動いているのは良い馬の特徴だし、調教で目立たないのはいつものことだから心配はいりません。芝へ行けばこちらが思っている以上に良いタイプ。奥の深い馬です」
競馬でも調教でも走りながら舌を左側に出す癖が見受けられ、舌を縛ったりクロスノーズバンドを装着するなど工夫をしているが、これに関しても「ハミを越しているわけではないので走る分には何も影響はありません」とのこと。愛嬌とみて良さそうだ。