フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
プロの舞踏家が語る女子フィギュア。
世界トップ選手達への評価が面白い。
posted2018/02/20 17:00
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Kaoru Watanabe/JMPA
いよいよ2月21日から、女子シングルが開催される。
これまでの大会や、団体戦などの結果から、ジャッジがそれぞれの選手に大体どのような評価をしているのかは見えてきた。
今回は趣向を少し変え、プロとして世界的に活躍するダンサーたちに、純粋に芸術としての視点からメダル候補の6人の女子の評価をしてもらった。これがまた、フィギュアスケートのジャッジの評価とはまったく異なる、面白い結果になったのである。
著者が依頼をしたのはいずれもニューヨーク在住の、著名なプロの舞踏家2人。本人たちの希望により匿名にさせてもらったが、A氏はアメリカの一流コンテンポラリーダンスカンパニーで長年プリンシパルダンサーをつとめてきた女性。
B氏はヨーロッパの伝統的なバレエ団での活動を経て、現在はニューヨーク郊外の大学の芸術学部で舞踏と振付を教えている。これまで数々の一流バレエダンサーの振付も手掛けてきた男性だ。
コストナーが1番、宮原が2番。
彼らに見てもらったのはアリーナ・ザギトワ、エフゲニア・メドベデワ、ケイトリン・オズモンド、カロリーナ・コストナー、そして宮原知子と坂本花織の、いずれもフリープログラムの今シーズンの映像である。
それぞれもっともミスの少ないビデオを選び、ダンスと振付を評価してもらったら以下のような興味深い順位が出た。
1位 カロリーナ・コストナー『牧神の午後』
2位 宮原知子『蝶々夫人』
3位 坂本花織『アメリ』
4位 ケイトリン・オズモンド『ブラック・スワン』
5位 エフゲニア・メドベデワ『アンナ・カレーニナ』
6位 アリーナ・ザギトワ『ドン・キホーテ』
この結果を、意外に思う読者は多いかもしれない。
特にザギトワの『ドン・キホーテ』はジャッジの評価が高く、マスコミも「ロシアのバレエを基礎とした」素晴らしい作品と、もてはやしてきた。だがプロの舞踏家たちから見ると、また違った意見が出てくるから面白い。