マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
2018年ドラフト会議予想、1位の12人。
各球団の“足りない所”を考えると。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byHideki Sugiyama
posted2018/02/04 11:30
ドラフトでは投手が上位になりがちだが、大阪桐蔭高・藤原恭大が1位で指名されないことは考えづらい。
オリックスは即戦力投手、広島は将来性の内野手。
2017ドラフトの上位指名3人、1位・田嶋大樹、2位・鈴木康平が2人で15勝をあげ、3位・福田周平が鉄壁のフィールディングで守りを固め……。この社会人トリオの大健闘でAクラスに返り咲いたオリックス(これも、もちろん“妄想”です)は、ここでもうひと押し、即戦力間違いなしと評判のパナソニック・吉川峻平で「V」を目論む。
この右腕の、いったんホップしてから右打者の足元に沈むシンカーは、プロでも勝負球になる。基本となる速球もコンスタントに145キロ前後、低く集められる制球力も一級品。「新人王」の最右翼に推せる実力者と見ている。
2017ドラフトで、チーム唯一の弱点の「左腕」を補強できなかった広島。
3位予想もそのへんがネックになっていた。そこで鈴木翔天だったのだが、抽選に負けての報徳学園高・小園海斗なら、将来のレギュラー遊撃手への“先行投資”として、十分意義ある人選だろう。
守備・走塁のスピード感と華麗な身のこなし、さらにボールを捉える感覚抜群のバッティング。スマートな高橋慶彦(元・広島ほか)……わかりづらければ、もっと足の速い鳥谷敬(阪神)。報徳学園OBの鞘師智也スカウトが腕をまくる。
PL学園最後のプロ選手になるかもしれない大器。
大阪桐蔭高・根尾昂を逃した楽天が挙げたのは東洋大・中川圭太。大学の偉大な先輩・今岡誠を上回る潜在能力を持つこの大型内野手の名が、1巡目で挙がってこなかったことに、後になって驚いてしまった。
もしかすると、「PL学園」最後のプロ野球選手になるかもしれないが、その彼が球史に名を残すような強打・好守の内野手として台頭する日を、かなり現実的に楽しみにしている。
その“球友”にあたる東洋大・甲斐野央を単独指名したのがDeNAだ。
東洋大姫路高でも無名だったし、大学でも3年生の昨シーズンから投げ始めたばかりという“未完の大器”だが、ものすごく大胆な表現をしてしまえば、今回指名された中で、もし「20勝投手」が出るとしたら、この甲斐野しかいない。
150キロの快速球に、140キロを超える猛烈フォーク。188センチ75キロの体躯も雄大で、あとは投げるための心身の体力を自ら求められるか否か。その一点に尽きる。