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井上尚弥相手でも、絶対に逃げない。
田口良一が「強いヤツ」を探す理由。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byShigeki Yamamoto

posted2018/01/21 08:00

井上尚弥相手でも、絶対に逃げない。田口良一が「強いヤツ」を探す理由。<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

世界王者乱立の時代でも、2団体統一王者は日本で田口良一しかいない。見た目以上に豪胆なボクサーである。

「強い相手に勝って防衛数を伸ばしていきたい」

 強いヤツと戦うことで、不安も大きくなる。

 しかしそのギリギリの戦いに打ち勝ったとき、強くなった自分を感じることができる。

 試合巧者で、タフで、負けん気が強くて。

 田口は言う。

「僕はメチャクチャ、パンチが強いわけでもないし、メチャクチャ、スピードがあるわけでもない。タフネスで勝負するタイプで、一般の人にはちょっとわかりづらいかもしれない。あんまりいいスパーができなくて“全盛期は過ぎたのかな”と思ったこともあります。(30歳を過ぎて)疲れが抜けにくくなってもいます。でも試合本番ではしっかり戦えているので“今が最高に強いんじゃないか”とも思い始めてきました。メリンドに勝ったことで、そう思えるようになっているんです」

 次戦はIBFからメリンドにリマッチの指令が出ていた元WBA世界ミニマム級スーパー王者ヘッキー・ブドラー(南アフリカ)との対戦が現時点で有力視されている。

 2団体統一王者となった田口の次なる目標は何か。

 物静かで優しい表情のチャンピオンは、スッと戦う男の顔になった。

「今、WBAの防衛が7回。昔は防衛回数のことを言われてもピンと来ませんでしたけど、ここまで来たら10回は行きたいなっていうのがあります。強くない相手と戦って(回数を)伸ばすんじゃなく、強い相手に勝って伸ばしていきたい」

 無論、ビッグマッチの話があれば大歓迎である。

 もっと強い者に勝って、もっと強くなりたい。

 田口良一は「強い自分」を追い求めている。

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