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杉田祐一、全豪でトップ10に初勝利!
インタビューでの意外な告白とは。
text by
生島洋介Yosuke Ikushima
photograph byAFLO
posted2018/01/16 17:30
ソックに勝利後、コート上で喜びをあらわにした杉田。この勢いが続けば、さらなる高みが見えてくる。
優勝後のコートではなく、試合前のホテルで号泣。
もっとも印象的だったというシーン、優勝したアンタルヤでの一幕だ。
「誰にも言ってなかったんですけど……。朝起きて、今からツアーの決勝だって思ったときに、尋常じゃない喜びと、今までの長かった道のりが思い返されて、思いっきり泣いてしまって(笑)。あまりテニスで泣いたことがなかったんですけど、いろいろな感情がよみがえって」
優勝後のコートではなく、試合前のホテルで号泣。あれだけの快勝劇の直前にそんな感情の高まりを抑えていたとは驚きだが、なにより気になるのは、そうさせた「長かった道のり」の方だろう。インタビューでは、徹底して自分と向き合ってきたその時間について、じっくりと考えながら言葉をつないでくれた。
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同期がトップ100の壁、四大大会出場の壁をあっさりと破っていく横で、頑固な性格と付き合いながら時間をかけて成長したその過程。例えば、プレースタイルの確立にもずいぶんと試行錯誤をしているという。ジュニア時代から一貫したスタイルだと捉えられがちなのだが、それは違うのだ。
「変えたんですよ。10代の頃が一番コートのなかに入れていました。でもレベルが上がるとやっぱり入れないんです。だから10年間近く、いろいろ試しました。けど、やっぱりしっくりくるのが高校のときにやっていたテニスだった」
そこから現在のスタイル完成へ向けた細かな調整が始まった。
「うまく分別できるようになったんですよ」
また、自他ともに認める頑固者だが、助言の受け取り方は変わってきたようだ。
「聞くようになった、ではなく、うまく分別できるようになったんですよ」
記者会見でもインタビューでも、以前はなかなか本音を見せなかった杉田の口から、次々とクリアな言葉が出てくる。
なぜいまなのか。
杉田の言葉に耳を傾ければ、そんな疑問は解消し、素直に必要な道のりだったと思えるはずだ。
長い回り道を抜け、ようやく表通りに出てきた杉田は17日、初めての全豪オープン2回戦に挑む。