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海外FAの平野佳寿、決断の裏側は?
大切なのは「自分の体を知ること」。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2017/12/13 07:00
四球が少なく、三振が多いという平野佳寿の特徴もメジャーの高評価につながっている。
平野「あと何年できるかわからんという年齢」
岸田、平野を筆頭に、オリックス投手陣は仲がいい。平野にとっては非常に居心地のいい場所だった。それも、過去にオリックスを離れなかった理由の1つだ。
「3年前の時は、(離れる)寂しさもあって、日本でやっているほうがいいだろうと思ったところもあったかもしれない。でも今はそこはもう割り切って、行けるようになっている。僕も岸田さんも、あと何年できるかわからんという年齢になってきてるんで……。
居心地のいい場所から出るのは難しいけど、まあ、あまり居心地がよすぎても、なあなあになったらよくないと思いますしね、この世界は」
このオフに日本ハムからFAでオリックスに移籍した増井浩俊が、来年は平野に代わって抑えを務めることになりそうだが、その増井は入団会見で、「33歳という年齢になって、残りのプロ野球人生を全部出し切って終わりたいなと思った」と語った。
平野は増井の1学年上だが、同じ33歳。そろそろ野球人生の終わり方を考え始め、完全燃焼できる舞台を求める時期なのかもしれない。
今シーズン終盤、平野は救援失敗が続いた。オリックスは'14年を最後に優勝争いに絡めておらず、この3年はCS進出の可能性も早い時期になくなった。同じようなサイクルの繰り返しの中で、本人にそのつもりがなくても、高いモチベーションを保って過酷な場面で投げ続けるのは難しかったのではないかと想像できる。
居心地のいい場所を離れて、自ら選択した挑戦の場で再び躍動する平野の姿を期待したい。