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浦和をアジアの頂点に導いた男。
ラファ・シルバを支える母の言葉。
posted2017/12/07 17:00
text by
塚越始Hajime Tsukakoshi
photograph by
AFLO
「Jリーグでプレーするために来日してくるブラジル人選手の中では珍しい、超都会っ子ですよ」
浦和レッズ通訳のロドリゴ・シモエスさんからそう紹介されたラファエル・シルバは照れ笑いを浮かべたあと、少し誇らしげにこう言った。
「ああ、サンパウロの中心地で生まれ育ったんだ。両親もそうだったと聞いているよ。毎日が刺激に溢れている、とても魅力的な街さ」
クラブW杯での活躍が期待されるラファエル・シルバのプロキャリアは、20歳だった5年前にコリチーバで始まった。続いて、スイスで躍進するルガーノでのゴールラッシュで評価を高めた。2014年途中からアルビレックス新潟へ移籍すると、昨季は自己最多11ゴールを記録。その活躍が買われて今季、浦和レッズに加入した。
「これまでのキャリアでは、サンパウロ州の大会で1度優勝したぐらい。だからタイトルを獲りたかった。そのチャンスがたくさんあることも、移籍先に浦和を選んだ理由のひとつだった」
旅人や病人を救う守護天使「ラファエル」から。
ラファエル・シルバは初めて挑んだ今季AFCチャンピオンズリーグで、試合を重ねるごとにパフォーマンスを上げた。
グループステージで5ゴール、決勝トーナメントで4ゴールと、チーム最多の9得点を奪取。トーナメントを勝ち上がり、対戦相手が強くなればなるほど燃えた。不可能はないと挑戦心を駆り立てた少年時代と同じように。
父レイナウドと母マルタの間に、姉に続く長男として生まれた。聖書に登場する旅人や病を持つ者を救う守護天使「ラファエル」から名前が付けられた。
幼い頃は地元のフットサルのチームに在籍していた。小さくて華奢な体つきにコンプレックスを抱いていたが、コートに立てば劣等感を反骨のパワーに変えて、年上や自分よりも身体の大きな相手を翻弄した。
「体格差だけでいろいろ判断されるのは苦痛だった。だから、とにかくゴールを決めまくってみせたんだ(笑)」