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大谷翔平、低年俸でメジャー挑戦?
皆が幸せになる交渉の落とし所は。
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byNanae Suzuki
posted2017/11/15 08:00
2016年にMVPを受賞した大谷翔平の今季年俸は2億7000万円(推定)。果たしてメジャー各球団はどのような金銭提示をするのか。
マイナー契約では5995万円に抑制されてしまう。
契約金も安ければ、年俸もかなり安くなる。
なぜなら、同協定下ではとりあえずマイナーリーグ契約を結ぶことになるので、基本給はメジャー目前のAAA級でも年俸1万ドル前後(月給2150ドル×5カ月)。期待通りに開幕までにメジャーリーグ昇格を果たして40人枠に入ることができても、この労使協定下ではメジャー最低年俸の54万5000ドル(5995万円)に抑制されてしまうからだ。
大谷のポスティング志願は、そういうことを事前に把握しての勇気ある「メジャー挑戦」だと思う。
前出の「MLB NOW」では米国人コメンテーターの1人が「彼(大谷)のようにお金なんて気にしない、とにかくメジャーでプレーしたいと言うのはとても素晴らしいことだ」と言ったように、「金ではなく、夢を手にすること」を優先することを称賛する米国人もいるぐらいだ。その志には本当に頭が下がる思いだ。
本来、選手会が異議を唱えてもいいはずだが。
だが、そういう米国人は少数派で、テレビで力説したバーンズのように大谷を破格の安値で獲得できるメジャー球団、ポスティングの譲渡金の上限2000万ドル(約22億4000万円)を得る北海道日本ハムに比べると、大谷が得るもの=契約金4億円以下+年俸6000万円以下というのが少なすぎると考える人の方が圧倒的に多い。
これは本来、日本プロ野球の選手会が異議を唱えてもいいはずの事項だと思うが、今のところそういった動きは見当たらない。一方、メジャーリーグの選手組合は、大谷が雇った代理人と面談して「25歳未満でメジャー挑戦をすれば良い契約はできないが、金より夢が大切なんだ」という確認が取れればそれでいい。
ただし、労使協定は何よりも尊重されるべきものなので、代理人には国際ルールの抜け道を探すことをさせぬよう念押しするはずだ。