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昔話に花を咲かせ、冗談で笑わせ。
ハリルinフランス、自然体の記者会見。 

text by

西川結城

西川結城Yuki Nishikawa

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2017/11/09 08:00

昔話に花を咲かせ、冗談で笑わせ。ハリルinフランス、自然体の記者会見。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

代表発表会見や試合後インタビューのイメージが強いハリルホジッチ監督だが、フランスではまた別の一面を見せている。

ハリルはリールの街に夢を与えた存在だった。

 紛れもなく、ハリルホジッチ監督はこの街のクラブに夢を与えた存在だった。今でも地元の人々は、彼を見かけるとこう語りかけるという。

「メルシー、ヴァイッド」

 地元の人々と触れ合う光景を見て、彼に対する大きなリスペクトと感謝の気持ちが、こちらにもひしひしと伝わってきた。

 リラックスした指揮官は、胸襟を開いたまま、今度は日本代表についても話していった。今回は先月の10月シリーズに続いて本田圭佑と岡崎慎司、そして先月は招集された香川真司が選外となったことが、大きな話題となっている。それはハリルホジッチ監督の厳格な一面が表れた選択とも取れるが、一方リールで“我が軍”を語る彼に、感情的な空気は一切なかった。

「例えば本田を呼んでいても……」

 今のチームと選手について、冷静な口調で語る。

「W杯への準備段階。いろんな可能性、要素を試し、どんな感覚を得られるのか。今はその匂いを嗅いでいる状況になる。まだ、これが最高のメンバーとか最高の形だということは、全然定まっていない。ベテランと言われる選手の中にもトップパフォーマンスになっていない選手もいる。みんなに(招集、招集外という状況を見せながら)刺激を与えていければと思っている。

 我々よりも力のあるチームはたくさんある。そこに立ち向かっていくためには、我々のいろんな要素を引き出す必要がある。皆さんの中にも『なんであの選手がいない』とか、当然そういう疑問があるでしょう。例えば本田を呼んでいても『クラブで普段プレーしていないのになんで呼ぶんだ』と言われていたこともあった。まあ、そこはメディアの皆さんにお任せします(笑)。もしかしたら、今日現在でW杯に行けるかもしれないという選手は5、6人。あとはまだまだ競争です。こうした私のやり方は、今まで日本の中でやられてきた形とは違うのかもしれない。ただ私はその時に最高のパフォーマンスの選手を呼ぶ」

 選外となっている本田の名前をあえて出しながら、自分の考えをゆっくりと話した。やり方に異論があることはわかっている。ただあくまで、監督としての選択権は、自らの手中にある。責任が伴うその事実を、ハリルホジッチ監督は語ったのである。

【次ページ】 会見であらためて垣間見えたチーム作りの方針。

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