80点で並ぶのは広島、中日、DeNAの3球団。

＜ 広島　80点 ＞

　高校卒捕手として何十年に1人の逸材と言っていい中村奨成（広陵・捕手）の獲得を争った中日と広島は、その後もともにいい指名をした。中村の交渉権を獲得したのは広島で、一部で噂されている内野手へのコンバートを否定、捕手として主力の會澤翼や中堅、若手の磯村嘉孝（来季26歳）、坂倉将吾（同20歳）とポジションを争わせると明言した。ハイレベルな正捕手争いが演じられそうだ。

　中村を「走攻守」と言ってしまうのは簡単すぎる。毎試合のように1.8秒台の二塁送球を記録する強肩や、バント処理で見せるフィールディングの速さは現時点でもプロで上位と断言できる。夏の甲子園で記録した6本塁打の打撃力も含めて、将来のスター候補と言っていい。

　2位以下（育成指名の3人を含む）は未完の大器が揃った。投手は上背のある2位山口翔（熊本工）、3位ケムナ・ブラッド誠（日本文理大）、5位遠藤淳志（霞ケ浦）、6位平岡敬人（中部学院大）、野手は4位で永井敦士（二松学舎大附・外野手）を指名し、近年の即戦力志向から一挙に展開して将来性志向に舵を切った。

＜ 中日　80点 ＞

　中日にも同じことが言える。近年は社会人主体の指名を展開し、それが当たらなかった。高校生なら「結果を問うのはまだ早い、3年後を見てくれ」と言えるが、大学卒、社会人出身にはそういう年齢的な余裕がない。その反省から今年は高校生主体の指名をした。

　中村を1位抽選で外し、外れ1位で指名したのはストレートの最速が157キロという本格派右腕の鈴木博志（ヤマハ）。中日はリリーフ陣に決め手がないので、短いイニングを、腕を振ってストレートで押せる鈴木の獲得は大きい。1年目から“守護神”の役割を託せる即戦力である。

　そして2位以下は、近年の中日のドラフトからは考えられなかった高校生主体の指名を展開。とくに大きいのは2位石川翔（青藍泰斗・投手）の指名で、最速151キロのストレートとキレのいいスライダーを交えたピッチングは一級品。

　4位で指名した夏の甲子園の優勝投手、清水達也（花咲徳栄）は150キロの快速球以外でも落差と角度が一級品のフォークボールを操る本格派。1回のドラフトで2人のストッパー候補を獲得したのは見事だ。

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