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イッペイ・シノヅカ22歳の逆輸入。
ロシアと日本、マリノスへの想い。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byGetty Images/J.LEAGUE
posted2017/10/20 07:00
G大阪戦では藤春廣輝相手に果敢な突破を仕掛けるシーンもあったシノヅカ。日本にいないタイプのアタッカーとなれるか。
マリノスはスパルタクでの要求と似ている?
大宮戦は初スタメンで、出場自体もまだ3試合目だ。すべてがうまくいくのは難しい。それでも日本語でコミュニケーションが取れるので、他の外国人選手よりは馴染む速度は早いだろう。
5年ぶりにシノヅカと再会したわけだが、素朴な疑問があった。
なぜ彼は、日本に帰国したのだろうか。
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国籍はロシアで、言葉もモスクワでの生活もサッカーも不便さはなかったはずだが。
「今年夏までの契約だったんですけど、スパルタクでチャンスが与えられず、試合にも出られなかったんです。チームメイトは『なんでイッペイが出ないんだ』って言ってくれたりしたんですが、監督とかに嫌われていたのか最後の方は完全に干されていました。
すごくサッカーがやりたかったので国に関係なく自分を欲してくれるところでやりたいと思っていました。そうしたらマリノスから声がかかったんです」
ロシアで華を咲かせようとしていた選手が欧州ではなく、Jリーグを選択する。このような逆輸入パターンは珍しい。それだけに日本でプレーすることに不安はなかったのだろうか。
「ロシアではJリーグを見れるサイトがほとんどないので情報は少なかったんですけど、不安や戸惑いはなかったです。
ただ、丸岡満くん(ドルトムント→セレッソ大阪。現V・ファーレン長崎)が守備面を要求されて試合で出られなかったのを聞いていたので、自分はどうかなっていうのはありましたけど……マリノスは外国人監督でスパルタクでの要求と似ていたので戦術的に悩むことはなかったです」
「日本代表として行きたい気持ちはありますが」
17歳当時、「将来は日本代表でプレーしたい」と語っていたが来年はロシアでW杯が開催される。母国でのW杯について、どういう心境でいるのだろうか。
「複雑ですね……。スパルタクでプレーしていれば、そういう雰囲気を味わえたと思うけど、直前に日本に戻ってきたので。それに日本代表として行きたい気持ちはありますが、国籍がロシアなので、そういう問題もあります」