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琉球はBリーグの地域格差を覆すか。
全国から選手、監督が集まる理由。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKyodo News
posted2017/10/14 09:00
沖縄は米軍基地の存在もあって、バスケットボールとの距離が近い。その土壌はゴールデンキングスの大きな財産だ。
初戦で記録した32ものアシストには、秘密が。
琉球は強くなることを約束されたチームなのか。あるいはそのためには、長い時間が必要なのか。
その試金石となったのが、第2節の名古屋ダイヤモンドドルフィンズとの試合だった。
名古屋は、開幕の2連戦で川崎相手に1勝1敗。敗れた試合も延長戦までもつれ込み、今シーズンの上位進出が期待される好チームだ。しかし、琉球は名古屋相手に2連勝を手にした。
名古屋の司令塔である笹山貴哉も、琉球に苦しんだ理由として守備でのアグレッシブさを挙げた。
最優先事項である守備が2日間を通して安定していたのは、順調な滑り出しともいえる。そしてそれ以上に、守備以外でも成長が見られたことが、琉球にとっては大きな意味を持っている。
初戦は、91-77で琉球が勝利。琉球は31ものアシストを記録した。人とボールが動くことで相手の守備を翻弄し、ノーマークでシュートを打てる局面を作ったからだ。
とりわけ目立ったのが、コーナーのアウトサイドにフリーの選手を作り、そこから3Pを決める形だ。3Pシュートは、コーナーから打つものが最も確率が高い。チームとして目指すべきシュートの優先順位としても、ダンクやレイアップなどのリング周りからのシュートの次に、コーナーからの3Pが来る。
この試合で、攻撃が機能した理由を佐々HCはこう話している。
「確かに、名古屋さんの守備はコーナーが開くというのは選手と話していたところです。もともと僕らの今季のオフェンスは、コーナーショットとか、ああいうところにボールをさばけるようにする、というもの。それが出来ていたのは、しっかりと最初にペイントエリア(エンドラインからフリースローラインまでの、床の色が違うエリア)までアタックしているから、コーナーも見えていたんですよね」
アウトサイドを有効に使うためには、リングに近いエリアまでドライブして、相手チームの守備陣を一度縮めさせないといけない。その理想的な攻撃の形を、この日は作ることが出来ていた。
代表とも共通する、ディフェンスを引き付けるプレー。
そして、これは日本代表のフリオ・ラマスHCが選手たちに求めていることでもある。8月末に手術をしてまだ試合には出ていない代表経験豊富な古川も、代表と琉球の共通点をこう語る。
「たぶん、代表でやっていることとコンセプトは一緒なんですよ。相手のディフェンスを引きつけ、ボールをどれだけ振ることができるか。それによって相手の対応が遅れたところで、良いチャンス、良いタイミングでシュートを狙える場所ができる。上手くいけば、当然コーナーも空いてきますよね」