沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
歴史的女傑の誕生とサトノの大敗。
凱旋門賞で日本勢は何を得たのか。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byGetty Images
posted2017/10/02 11:30
完全に後続を引き離し、最後は流して悠々と勝利したエネイブル。日本馬は、またも世界との距離を痛感させられる結果になった。
サトノは4コーナーまでは手応え十分だったが……。
デットーリは、1995年ラムタラ、2001年サキー、'02年マリエンバード、'15年ゴールデンホーンに次ぐ凱旋門賞5勝目となり、歴代単独トップに躍り出た。
2着はフランスのアンドレ・ファーブル厩舎のクロスオブスターズ、3着はイギリスのマイケル・スタウト厩舎のユリシーズだった。
サトノダイヤモンドは、4コーナーでは手応えが十分残っており、直線に向いたときは伸びそうに見えたが、本来の瞬発力を発揮することはできず、ゴールではエネイブルから10馬身以上離されていた。名牝を脅かすことはできなかった。
騎乗したクリストフ・ルメールは、「フォワ賞と同じくらい馬場が重かった。いいポジションでリラックスして走ることができました。4コーナーまではよかったが、直線がこの馬場状態では反応できなかった」と振り返った。
池江調教師は「ベストに近い状態に持っていけましたが、馬場が合わなかった。また凱旋門賞にチャレンジしたいと思いますので、応援してください」とコメントした。
サトノダイヤモンドも、好位から伸びなかったサトノノブレスも、前哨戦から大きく変わったところを見せることができなかった。
池江調教師は、誰よりも勝利を求めていた。
日本馬が、この舞台に立つだけで栄誉に感じていた時代はとうに過ぎたことはすべての関係者が――特に池江調教師は、誰よりもよくわかっている。それだけに悔しい思いは強いはずだ。
昨年、エイシンヒカリが10馬身差でイスパーン賞を勝ったり、マカヒキがニエル賞を制したり、ノーザンファームで生まれてフランスで調教されているディープインパクト産駒のアキヒロも重賞を勝ったりと、シャンティは日本馬にとって、特にディープインパクト産駒にとっては力を発揮しやすい舞台だと見られていた。そこで凱旋門賞が行われる'16年と'17年はチャンスだと思われたのだが、2年とも、残念な結果になった。