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武藤嘉紀の考え方は180度変わった。
「今はね、頼むよ呼んでくれと思う」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2017/08/29 07:00
原口、久保、乾らがひしめく3トップの両サイドだが、武藤嘉紀の裏へ抜ける力は独自の武器と言えるだろう。
「今はね、頼むよ呼んでくれと自信を持って思える」
だから、今の武藤は胸を張る。
「コンディションはいい」と。
実は6月の日本代表の活動期間中、代表選手たちが練習をするかたわら、武藤はオフに入らずに1人で黙々と練習を続けていた。怪我人が出た場合のみ招集される予備メンバーだったからだ。あの時期の感覚があるからこそ、今の武藤は明確なイメージが頭に浮かんでいるという。
「あの時期はみんなとは一緒にやれていないで、1人で練習しているだけ。そんな状態で仮に呼ばれても、大丈夫かなという不安があった、だけど今はね、頼むよ呼んでくれと自信を持って思えるから。今度の試合だって、オレは途中からだっていい。みんなが疲れているところにオレが入っても、点を決めてやるんだぞという感じで試合に入っていく姿も全て想像できているから」
ハリルホジッチ監督は、オーストラリアとサウジアラビアとの2試合にむけて、9人のFWを招集した。1人の選手を複数のポジションで使おうとするタイプの監督ではないが、それでも武藤については、左FWとセンターフォワードの両方のポジションで使う可能性をにおわせている。それだけに合宿が始まってから、監督は武藤の状態をつぶさに観察することになる。
準備は出来ていると語る武藤が、ここまで味わってきた悔しさを、たくわえてきたパワーを、爆発させたとしても決して驚かない。