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明徳・馬淵監督は前育に脱帽だが。
「4番の子がかわいそうや……」
posted2017/08/16 17:30
text by
中村計Kei Nakamura
photograph by
Kyodo News
「前橋育英は、強い! 走攻守どれを取っても、一枚も二枚も上やった。完全な力負けです」
歴戦の監督、明徳義塾の馬淵史郎から出た完敗宣言だった。
計算通り接戦に持ち込んだが、明徳がやりたかった、少ないチャンスを確実に生かす展開を逆に前橋育英にやられて1-3で敗れた。
前橋育英の最速149キロのエース皆川喬涼に8回までわずか2安打に抑え込まれ、采配を振るう機会さえほとんど与えられなかった。
「サイン、出すとこなかった。やっぱり、ピッチャーは、スピードがないとあかんな。困ったとき140を超えるボールがあるのは魅力よ」
9回表、連続安打でようやく1点を返したが、反撃機をつくるのがあまりにも遅かった。
「皆川君は前の試合よりもコントロールがよかったから、フォアボールを期待できない。相手のエラーを待つくらいしかできんかった。皆川君が今日みたいに調子のいいときに、大阪桐蔭とか智弁和歌山とやるのを見てみたいね。そうすれば、うちの打線のどこが足らんかったかが計れる」
前橋育英の強さを認めつつ、4番・飯島には同情。
前評判の高かった前橋育英と、2回戦でぶつからなければならなかったクジ運の悪さも嘆いた。
「関東の関係者からも情報を集めたんやけど、いちばんは前橋育英やと言っていた。当たらん方がええよ、と。去年の夏は、クジ運、よかったんやけどな(笑)」
前橋育英を「(優勝が)あるかもしらん」と高く評価する。
「1番の丸山(和郁)君がいいね~。雰囲気もいい。チームを引っ張ってる。彼なら、野球で飯食えるかもしらんで」
ただ、「4番の子がな……」と左手首骨折の傷が癒えない前橋育英の4番・飯島大夢に同情を寄せた。この日はスイング時、露骨に痛そうな表情を浮かべるシーンが目立った。
「4番の子がかわいそうや……。6番くらいにしてやれんのかな。彼次第かもしらんな。勝つときは、悪いところは表に出てこんもんやから」