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日本一直後にビールかけよりサプリ。
ホークス明石健志は天才型名脇役。 

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田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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photograph byKyodo News

posted2017/08/17 07:00

日本一直後にビールかけよりサプリ。ホークス明石健志は天才型名脇役。<Number Web> photograph by Kyodo News

8月15日のオリックス戦では先制の2点三塁打など2安打3打点と活躍し、チームを勝利に導いた。

かつては岩隈から5打数5安打の固め打ちも。

 明石は数少なくなった福岡ダイエー時代を知る男だ。そのユニフォームを着て一軍でもプレーしている。山梨学院大附属高校から入団した1年目のことだった。甲子園出場もなく、ドラフト4巡目でプロ入りした華奢なルーキーが5月に異例の早さで一軍デビューを果たし、代打でのプロ初打席でベテランの川尻哲郎(近鉄)から三塁打を放ったのだった。

 また、一軍で出番が増え始めた'09年には当時イーグルスの岩隈久志から5打数5安打、2つの三塁打をマークしたこともある。

 31歳を迎えた現在でも引き締まった肉体から想像できる通り、スピード感あふれるプレーが持ち味。身のこなしも軽く「バク宙は今でも得意」という。自己管理の賜物である。

日本一直後、ビールかけの真っ最中にグルタミンを。

 これぞ、プロフェッショナル。その姿を目撃したのは3年前のことだった。

 '14年の日本シリーズでのことだ。ホークスはタイガースを4勝1敗で下して、日本一に輝いた。西岡剛の守備妨害で決着するという珍しいラストシーンを覚えているファンも多いと思うが、あの時にファーストを守っていて打球を処理したのが明石だった。

 それはともかく、日本一決定時のグラウンドでのことだ。日本一を決めた瞬間、文字で表現するのが難しいほどのお祭り騒ぎになる。プロ野球選手はみな、この瞬間のために自主トレやキャンプで日々鍛錬し、長いシーズンを戦い抜くのだから当然だ。

 グラウンドから引き揚げてもテンションそのままに、ロッカールームからは絶えず歓喜の声が響き渡ってきた。当時選手会長の松田宣浩などはビールかけの乾杯の発声練習をニコニコ顔でやっていた。

 その真っ最中に、明石はプラスチックのカップを片手に選手サロンにやってきた。疲労回復に効果があるグルタミンを水で溶かしゴクゴクと飲み干し、冷静な顔でカップを洗ってまたロッカーに戻っていったのである。

【次ページ】 「コンビニ弁当を食べた記憶がない。だって油っこい」

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#福岡ソフトバンクホークス

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