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女子選手が必ず直面する思春期問題。
伊藤華英が語る生理と競技の関係。
posted2017/07/26 07:00
text by
伊藤華英Hanae Ito
photograph by
AFLO
近年女性アスリートの活躍が目立つ。
思い出してみるだけで、沢山のアスリートの名前や顔が浮かぶだろう。
スポーツの起源を辿ると、女人禁制だった古代オリンピックに対し、近代オリンピックでは第2回大会から女性の参加が認められ、近年の参加者は男女半々になっている。
さらに最近は、女性アスリートは新たな地位も確立してきている。「美人アスリート」としてスポーツのアイコンになったり、バラエティ番組で存在感を発揮するなど、親しみやすく、爽やかな印象と華やかな功績でスポーツ界を盛り上げる、まさに強さと美しさを兼ね備えた存在だ。
このように活躍する選手たちの多くは、10代の頃から芽が出て20代後半から30代で引退する瞬間まで、トップを走り続ける。開幕した世界水泳でも世界中から若い才能が集まっているが、特に水泳でオリンピックを目指すような選手は、幼少期から競技を始め、10代の頃から世界のトップで戦う選手がほとんどである。つまり、思春期をアスリートとして迎えるのだ。
同じように食べても、急に体重が増える。
英語でいうと「teenager」。色んなものに興味をもち、大人の女性へ成長していく段階だ。「あの選手は、身体の線が変わった」とか「身体が重くなり、以前のようにパフォーマンスができなくなった」というコメントを聞いたこともあるのではないだろうか。
女性アスリートは、思春期という壁に必ずぶち当たる。年齢に応じて女性ホルモンの分泌が活性化し、体が生物学的に変化していくことは必然だ。
今まで出来ていたことが出来なくなったり、今までと食べている量が同じなのに急に太り、体重のコントロールが難しくなったりする。アスリートでなくても、女性ならば少なかれ経験があるだろう。
私自身もそうだった。15歳で日本選手権に出場し、初代表は16歳の時だった。
当時は練習すればその分だけ速くなったし、体はガリガリだった。その後、少しずつ、身体の変化を感じる。月経前になると、精神的にイライラした。体重も3キロくらいすぐ増えるようになり、最初はコーチにも不思議がられた。
「何故太るのか」と私自身とても機嫌が悪くなったし、今思うとチームメイトには迷惑をかけたかもしれない。なんでこんなにイライラするのか、自分でも悩んだし、体幹トレーニングでもお腹に力が入らない感じがした。私自身が悪いのか、精神的に弱いのか。しかし、そうではなかった。