バレーボールPRESSBACK NUMBER
男子バレーを生まれ変わらせる仕事。
ブランコーチが掲げる3つのポイント。
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byAsami Enomoto
posted2017/07/11 08:00
5月の始動会見でブランコーチは「私の持っている力、スキルを全て注いで成功に導きたい」と熱く語っていた。
選手たちにも「迷いがないんです」と好評。
新たな取り組みにチャレンジし、変化を受け入れる。まさに今、その過程の中にいる選手たちはどう捉えているのか。
ブラン氏がサーブ、ブロックにおいて「日に日に成長を遂げている」と名指しした、ミドルブロッカーの山内はこう言う。
「迷いがないんです。たとえば相手の攻撃が速くて間に合わなかったとしても、変に手を出して相手に利用されるのではなく、『自分はここまでしか行けないからここで跳びます。だから後ろはお願い』って、任せられる。空けたコースはリベロやポジション6の選手(ウイングスパイカー)が拾ってくれる。『ここに絞る』と狙いすぎると、裏をかかれた時にディフェンスが崩れてしまうことも多かったけれど、それぞれの責任や役割が明確で、何をすればいいのかがわかりやすいので、ストレスもないです」
変化の兆しは成果となって表れ、発足からまだ数か月が過ぎたばかりではあるが、最初の大会となったワールドリーグでは、グループ2で日本は2位。昨年よりも大きくステップアップを遂げた。
「我々が目指すのはゴールドだからね(笑)」
東京五輪まではわずか3年。限られた時間であることに変わりはない。だが、まだ粗削りではあるが、何かが変わろうとしているという期待――。それは見る者だけでなく、選手として、そして指導者として四度目の五輪に挑戦するブラン氏も同様に感じている。
このチームにとって、東京五輪を1つのゴールとするならば、これからどれだけの進化を遂げるのか。
「東京五輪は非常に面白い大会であり、非常に難しい大会です。そこで彼らがどう戦うか。そのためにはまず、世界選手権の切符を自分たちで勝ち取って、オリンピックを戦うこと。世界選手権の予選は非常に大切な大会ですから、1つ1つの試合に勝てるよう、そして楽しんでもらえるようにベストを尽くします。なぜなら我々が目指すのはゴールではなく、ゴールドだからね(笑)」
新たな転機を迎えた今、男子バレーが面白い。
イタリア、ブルガリアで開催される来年の世界選手権の出場権をかけたアジア予選が7月12日にオーストラリアで幕を開ける。結果が問われるプレッシャーの伴う大会で、成長過程のチームがどんな戦いを見せるのか。期待は、高まるばかりだ。