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東京五輪マラソンのメダルは可能か。
平均は上がれどトップが伸びず……。
posted2017/06/09 07:30
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Kyodo News
市民マラソンの熱が高まっているのとは裏腹に、日本マラソン界はオリンピックのメダルから遠く離れてしまった。
男子のメダリストは、1992年のバルセロナ・オリンピックでの森下広一の銀メダルが最後。もう四半世紀も前の話だ。
女子は2004年、アテネ・オリンピックの野口みずきの金メダルが最後のまま(彼女が北京オリンピックに無事参加していたら、事情が違っていたとは思う)。
マラソンでのメダル奪還は、関係者の悲願である。
これまで長距離界は大学、実業団の各チームが主導して強化を図ってきたが、ここに来て日本陸連が瀬古利彦氏を「マラソン強化戦略プロジェクトリーダー」に据え、いい意味での中央集権型のリーダーシップを発揮して改革に乗り出している。
2020年の東京オリンピックに向けて選考基準、過程を透明化した「マラソングランドチャンピオンレース」、「マラソングランドチャンピオンシリーズ」を新設したのもプロジェクトの仕事のひとつだ。
原氏がテーマを投げかけ、大議論に。
そして6月7日には、青山学院大のキャンパス内で「東京2020オリンピックマラソン強化キックオフミーティング」が行われ、第2部のパネルディスカッションがメディアにも公開された。出席者は……。
原晋氏 (青山学院大学陸上競技部長距離ブロック監督)
瀬古利彦氏 (マラソン強化戦略プロジェクトリーダー)
河野匡氏 (日本陸連強化委員会 長距離・マラソンディレクター)
坂口泰氏 (日本陸連強化委員会 男子マラソン オリンピック強化コーチ)
山下佐知子氏(日本陸連強化委員会 女子マラソン オリンピック強化コーチ)
パネルディスカッションでは、原晋氏がテーマを設定して課題を投げかけ、パネラーだけでなく、会場に出席した一線級の指導者も巻き込みながらの進行。興味深いデータが示された。