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「バドミントンで8位」の価値は?
大岩義明が世界的馬術大会で偉業。
posted2017/06/07 07:30
text by
北野あづさAzusa Kitano
photograph by
Azusa Kitano
「世界の8位」は中途半端な順位だ。
1位は誰もが称賛する。2位も3位も1位ほどではなくとも、称賛されるべきポジションだろう。「メダリスト」なのだから。
では8位はどうか? 一桁ではあるが、メダルには届かなかったという、この微妙なポジションは、その大会の位置づけや、選手への期待次第で、称賛の対象にもなるし、「惨敗」とも言われるだろう。
ここで取り上げるのは「総合馬術」。おそらくこの言葉を聞いて「ああ、あれね」と言う人は、ほとんどいないはずだ。日本では。
しかし、イギリスでは違う。
ましてや、その競技が『バドミントン・ホーストライアルズ』であると知ったら、多くの人は“Fabulous!” とか “Super!” などと言ってくれる。
近年の錦織圭選手の活躍よりずっと以前から、『ウィンブルドン』は多くの日本人が注目する、テニスの一大イベントと認知されている。『バドミントン』もそれに肩を並べる、総合馬術の一大イベントなのだ。
世界中の総合馬術選手が、「一度は走りたい」と思い、それと同時に「簡単には完走できない」と知っている。
今年、このビッグイベントに1人の日本人が参加して8位に入賞した。
世界中から15万人もの人が集まる馬術の大会!?
ロンドンから西に140kmほどのところにあるバドミントンは、普段は静かな田舎の町だが、年に一度、『バドミントン・ホーストライアルズ』が開催される週末だけは、15万人を超える人々であふれかえる。
泊りがけで大会を観戦する人のキャンピングカーは2000台近くにのぼり、臨時の飛行場まで設置される。
会場となるのはボウフォート公爵の私邸である。
広大な土地にたたずむ“バドミントン・ハウス”に公爵夫妻は暮らしており、その「庭」で競技が繰り広げられる。
多くの人を熱狂させ、イギリスに根付いている総合馬術とは……。