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アイスホッケー男子代表への失望。
反撃しない0-4に未来はあるのか。
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byAFLO
posted2017/05/18 08:00
歓喜に沸くイギリスの選手の後ろで、肩を落とす福藤。日本男子のアイスホッケーは永遠に世界トップレベルへと近づけないのだろうか。
飛躍的に成長を遂げた韓国にも抜かれてしまった。
低迷が続く日本と対照的なのは近年、飛躍的に成長を遂げた韓国である。地元五輪に向け、北米出身の7選手を特別帰化(元の国籍を失うことなく韓国籍を与える制度)させるなど強化をはかってきた結果、アジア大会で準優勝しただけでなく、今世界選手権のディビジョン1グループAで2位となり、来年からはついにトップディビジョンで戦うことになった(グループAは上位2カ国が昇格)。
10年前まで、日本が韓国に負けることなど考えられなかった。その韓国が一足先に、日本が近年ずっと目指してきたトップディビジョン入りを果たしてしまった。
潤沢な資金どころか、今後、男子代表の資金のやりくりはますます厳しくなるだろう。長野五輪のときのように、カナダの日系人選手を帰化させるなどのアクロバティックなプランがあるわけでもない。
昨年、五輪最終予選で全敗し、今年のアジア大会では3位に転落。選手らは「今が、どん底だ」と語っていたが、その下に、まだ底があった。このままでは、さらなる底が待ち受けている可能性が高い。
ナチスドイツにさえ強気な姿勢を崩さなかったことで知られるイギリスの元首相、ウインストン・チャーチルはこんな言葉を残している。
〈金を失うのは小さなことで、名誉を失うことは大きなことだ。しかし、勇気を失うことはすべてを失うことだ〉
日本とイギリスの差は、実際は、そんなにあったとは思えない。イギリスにあって、日本になかったもの。それは失点を恐れず、攻める勇気ではなかったか。