プレミアリーグの時間BACK NUMBER
不倫騒動、相手ファンを尻で挑発!?
チェルシー退団テリーの5大逸話。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2017/04/22 09:00
CL決勝欠場ながらもランパードらとともに歓喜した闘将。その姿は「ジョン・テリーする」との新語を生んだ。
プレミアDF史上最多の40得点中、27点がヘディング。
初ゴールはFAカップ次ラウンドで生まれることになるが、距離の出るクリアだけではなく、相手ゴールへの脅威にもなるヘディングはテリーの大きな魅力だ。これまでDFとしてはプレミアリーグ史上最多の40得点を上げており、そのうち27点を頭で決めている。
思えばバルセロナを下し、チェルシーが欧州屈指の強豪と認められる契機となった'05年CL16強第2レグでも、チェルシーの最後の得点は攻守に頼れるCBのヘディングによるものだった。
W杯の「頭から飛び込むシュートブロック」は語り草。
<2007年2月25日 チェルシー対アーセナル(リーグカップ決勝)>
テリーはこの頃、すでにチームをプレミア連覇へと導き、クラブ史上初のPFA(選手協会)年間最優秀選手にも輝き、英雄と崇められるようになった。チームのために体を張る姿勢も英雄視された理由の1つ。ただ冷静な目で見れば、その勇猛さは無謀さと表裏一体だと言える。
当時のテリーは、引退後の「車椅子生活」を覚悟してまで、怪我をしてもすぐに復帰してきた。アーセナルとの決勝戦でも、足首の怪我で出場が危ぶまれていながら先発している。しかし63分、CKの流れから混戦状態のゴール前でヘディングシュートを狙ったところ、クリアを試みたアブ・ディアビに顔面を蹴られた。
意識を失ったテリーは担架に乗って退場し、救急車で病院へ。だが、身の危険を顧みずに戦った主将の姿がチームを鼓舞し、押され気味だったチェルシーが逆転優勝を飾った。
代表チームでのテリーは、2012年の代表引退までに78試合に出場し、うち34試合でキャプテンマークを付けた。もちろん、ここでも同じ姿勢で戦っていた。
好例が2010年W杯でのスロベニア戦で、身を投げ出してブロックを試みた場面だろう。目の前で放たれた強烈なシュートが当たっていれば、間違いなく脳震盪は避け難かった。身を挺して守るのがDFだが、地面すれすれの高さで、ほぼ水平に頭から身を投げたDFを筆者はテリー以外に知らない。