猛牛のささやきBACK NUMBER
オリックス好スタートの流れに乗れ。
山岡、黒木、澤田の新人投手トリオ。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2017/04/13 08:00
山岡は今年の新人王有力候補にも挙げられている。黒木、澤田とともに一軍に定着できれば、オリックスの投手陣は一気に充実する。
開幕戦、2試合目の登板で失点して意気消沈も……。
澤田も開幕戦の延長11回にプロ初登板を果たしたが、カルロス・ペゲーロにバックスクリーンへの2点本塁打を許し敗戦投手となった。
「『澤田、失投』って書いといてください」
試合後、待っていた記者陣にまっすぐに向き合い、話す姿も堂々としていた。
「いつも以上にブルペンでもよかったし、先頭バッターまではよかったんですけど。もう少し時間をかけて勝負すればよかったし、あの球で勝負できると思っていた自分が甘かった。悔しいです。チャンスがあればやり返したい」
翌日は2-10と大量リードされた9回1アウト一、三塁の場面で投入されたが、四死球や安打で3点を追加された。この日ばかりは、「厳しいです。難しい」と言葉少なだった。
この日の試合後、捕手の伊藤光は「投げっぷりのよさが消えたら普通のピッチャーになってしまうぞ」とアドバイスしたと言う。
「お前はもっと相手をおちょくるぐらいでいい」
次の登板機会はなかなか訪れなかったが、4月8日の日本ハム戦でようやくその時がきた。8-0の8回にマウンドに上がると、1安打を許したものの0点に抑えほっと胸をなで下ろした。
それでも試合後、小谷野は澤田に、「お前はもっと相手をおちょくるぐらいでいいんだよ。お前はあんまり真面目にやっちゃうといいことないんだから」と発破をかけたと言う。
先輩たちについそう言わせてしまうほど、本来の澤田には“ただ者ではない感”が漂っているのだろう。
澤田本人もスッキリしない表情だった。
「バッターがどう打ちたがっているかというところまで、まだ見切れていないんです。オープン戦は引っ張りにくる人が多かったんですけど……。それがわかれば簡単なんですけど。そこは探りながらやっていかないと」
バッターの特徴や狙いを察知して、それを利用してタイミングを外す「あと出しジャンケン」が持ち味だけに、場数を踏めば踏むほど澤田らしい味が出てくるはずだ。「ここからです」と丸顔をキュッと引き締めた。