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監督自ら50回通って選手を獲る。
大阪桐蔭の土台は徹底したスカウト。 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph byKyodo News

posted2017/04/03 17:30

監督自ら50回通って選手を獲る。大阪桐蔭の土台は徹底したスカウト。<Number Web> photograph by Kyodo News

春・夏あわせて5回の優勝を大阪桐蔭にもたらした西谷浩一監督。強いチームの土台は、スカウトにあるのだ。

中田翔のときは、広島に40、50回通った。

 社会科の教師でもある西谷がスカウト活動に当てられる時間は、基本的に週1日、土曜日の午前中だけだ。午後からは練習があるため、ノックが始まる午後2時までにはグランドに戻る。西谷が言う。

「土曜日は朝6時前後に家を出れば、近場なら3、4チームは見て回れる。最初の選手は1打席目だけ見て、次のところへ行ったりする。そうして何度も顔を出すことが大事」

 広島出身の中田翔(日本ハム)を獲得したときは40、50回は広島に通ったという。金曜日の終電で広島へ移動し、ビジネスホテルに宿泊して、翌日は早朝から中田を見て、午前11時広島発の新幹線で大阪へ戻った。

 西谷は、もっとも獲得したい中学生のことを「ドラフト1位」と呼ぶのだが、そうして40、50回通い、最後の最後で振られたことも一度や二度ではない。

「そりゃもう、がっかりっすよ。でも、それはよくあること。私は本気で好きになった選手は違う高校に行っても気になるんです。どんな選手になってるのかな、と」

「沖縄にいたらしいですね」と嘘情報が流れることも。

 また、寮のない履正社のスカウト網は近畿圏だけにとどまるが、寮を完備する桐蔭の活動エリアは西日本までを網羅している。

 再び、ボーイズの監督の話だ。

「情報網がすごい。いろんな人から情報もらってる。九州なんて、お手のもんですから」

 そうした話に尾ヒレがついて広まっていくのだろう。かつて西谷が「行ってもないのに『沖縄にいたらしいですね』って言われた」と苦笑していたが、もはや、そうした虚偽の出没情報が流れることは日常茶飯事らしい。

 浅村栄斗(西武)は、大阪桐蔭の強さの秘密をこう語っていたことがある。

「どんなにうまい選手でも入学したときは、レベルの高さに圧倒される。だからレギュラーになるだけでも必死。その中で、自然とうまくなっていく」

 大阪桐蔭は一流の素材が、やらされるのではなく、自らやる。強くならないわけがない。

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