野球善哉BACK NUMBER
安楽智大の232球から4年、今年も……。
WBCの球数制限とセンバツの野放図。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKyodo News
posted2017/04/02 08:00
今大会最多の1日で218球を投げた東海大市原望洋の金久保優斗。“熱投”の代償が大きなものにならないことを願うばかりである。
WBCで興味深いのは登板間隔の制限もあること。
まず、WBCのルールについて整理したい。球数制限のルールは以下だ。
・投手は1試合につき1次ラウンドは65球、2次ラウンドは80球、決勝ラウンドは95球を超えて投げることはできない。※ある打者の打席中に制限に達した場合は、その打席の完了まで投球できる。
・1試合で50球以上投げた場合、次の登板まで中4日をあけなければならない。
・1試合で30球以上、または2試合連続で投げた場合は、次の登板まで中1日をあけなければならない。
・捕手が立ち上がるなど明確に敬遠四球と分かる動作を示した場合は、主催者の判断により敬遠に関わる投球数は投球数に含めない。
・準決勝第1試合は準決勝第2試合と同日に行われたものとみなし、30球以上投げた投手は決勝に登板できない。
センバツ大会がこれをそのまま見習うべきだというつもりはない。
注目したいのは、球数制限があるのと同時に、登板間隔の制限があることだ。1試合に200球近く投げることに加えて、高校野球界のもう1つの問題は、回復までの時間が短いところだ。
149球から中3日で196球、中1日で130球。
50球を投げた投手が中4日空けないといけないWBCに対して、今大会の福岡大大濠・三浦投手だと1回戦に149球を投げて、中3日の2回戦で196球。さらに中1日の再試合で130球だ。
ちなみに、WBCの侍JAPANで、最も球数を投げたのは菅野智之(巨人)投手で、3試合で221球だった(登板間隔は中5日と中7日)。
とはいえ、ただ数字を比較をすればいいというものではない。
これから重要になってくるのは、科学的根拠だと思う。高校生には1日にどのくらいの球数が限界で、何球投げたらどれだけの登板間隔が必要とされるか、などだ。