マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
今年の高校野球は人材が濃いぞ……。
選抜ベスト8の選手で打線を組んだ。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKyodo News
posted2017/03/30 07:30
スラッガー揃いの今大会でも、履正社の安田尚憲の存在感はやはり目立つ。
新2年生だけでも、もう1つチームができる。
いや、このぐらいで驚いていちゃいけない。
この11人の中には、「ゴールデンエイジ」と呼ばれ始めた新2年生を1人も加えていない。
ならば、どうなる?
驚いちゃいけませんよ。新2年生たちだけで「高校ジャパン」がもう1チーム組めてしまう。
1(遊)小園海斗〔報徳学園〕
2(二)渡辺瑠維〔秀岳館〕
3(捕)根尾昂〔大阪桐蔭〕
4(三)山田健太〔大阪桐蔭〕
5(投)藤原恭大〔大阪桐蔭〕
6(一)山下航汰〔健大高崎〕
7(左)樺嶋竜太郎〔福岡大大濠〕
8(右)山下竜哉〔秀岳館〕
9(中)筒井太成〔履正社〕
本来は長距離砲の樺嶋竜太郎、山下竜哉の“Wドラゴン”が下位にまわってしまうほどの選手層の厚さ。
清宮幸太郎抜きでこのチーム、という驚き。
これだけ人材が充実していて、実際に拾ってみると、バッテリーの薄さに行き当たった。
そこで、「ほんまはピッチャーやってみたいんです……」と、打ちまくったバッティングの話より自信ありげにニヤッとしてみせてくれた大阪桐蔭・藤原恭大にマウンドをお願いし、女房役には、チームメイトの根尾昂を抜擢してみた。
昨秋、外野をこなしながら、投手としても光り、この春は練習試合で三塁を守り、本番ではなんと遊撃手として、広い守備範囲を動き回ってみせた根尾昂。私は、どこでも守れる能力を単に“野球センス”だと思っていない。
それは、立派な“人間的センス”と考える。こういう選手に、私はぜひ捕手をつとめてほしいと願っている。
人によっては、こっちのほうが強いんじゃないか……。そんなふうに考える向きもけっこう多いのではないか。
驚くべき選手層。
そして、もっと驚くべきことは、皆さんはすっかり忘れておられるかもしれないが、このメンバーのどこにも、あの清宮幸太郎がその名を連ねていないことである。