錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER

マレーもジョコビッチも錦織圭も。
強豪選手がスランプを否定する根拠。 

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山口奈緒美

山口奈緒美Naomi Yamaguchi

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posted2017/03/24 21:00

マレーもジョコビッチも錦織圭も。強豪選手がスランプを否定する根拠。<Number Web> photograph by Getty Images

今季こそはマスターズ1000の大会を制したい錦織。グランドスラムでの成績を考えると、もうあと一歩のところまで迫ってきているはずなのだが……。

決してスランプというわけではないのだが……。

 負け続けているわけではないから、断言もできないのだが、錦織自身はこう話した。

「自分としては、今大会はすごく調子が良かった。でも最後は悪い試合で終わってしまったので、こういうところをしっかり直してマイアミに臨みたい」

 こういうところというのはアップダウンがあるということだろうか。スランプという見方については、はっきりとではないがどうやら否定したようだ。

 どこか他人事のように淡々と話すのが少し気になった。

大会全体で一番の話題は“歌うフェデラー”だった。

 ソックに勝てば叶うはずだったロジャー・フェデラーとの対戦も幻となり、日本のメディアが他の大きな大会に比べて少ないせいか会見でも今ひとつ元気がない状況だったので、終わってみればこの大会全体としてもっとも心に残ったものは、“歌うフェデラー”だった。

 トーナメント・ディレクターで元世界2位のトミー・ハースと、かつて〈フェデラー2世〉と呼ばれたグリゴール・ディミトロフとともに、'80年代に流行ったシカゴの『Hard To Say I'm Sorry (素直になれなくて)』を歌った動画が、センターコートのスクリーンで流されたのだ。それは数時間前にフェデラーがツイッターに投稿したもので、収録には全豪オープン中に始まるストーリーがあるのだが、ここではその説明は省きたい。

 とにかく今回、フェデラー対ニック・キリオスという楽しみな準々決勝がキリオスの食あたりによる棄権で流れたために、ぽっかり空いてしまった時間にフェデラーのオンコート・インタビューを行い、そこでこの動画を利用したのだ。

 ピアノを弾くのは、まさにその曲をプロデュースしたソングライターのデイビッド・フォスターで、彼はハースの義理の父親だ。途中、ワンフレーズだけノバク・ジョコビッチまで特別出演させた動画は完成度が高く、フェデラーといっしょにあの動画を見たファンは、試合を見た以上に得した気分になれたかもしれない。

【次ページ】 「The One-Handed Backhand Boys」の意味。

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