Survive PLUS ~頂点への道~BACK NUMBER
なぜ補欠から突然キャプテンマーク。
吉田麻也が試合後の謝罪をやめた理由。
posted2017/03/16 08:00
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph by
AFLO
眼前にいたズラタン・イブラヒモビッチに、痛烈なタックルを見舞った。相手は転倒し、思わず悶絶。吉田麻也はクールにその場を立ち去った。
「ファーストプレーでガツンとファウルされたので、あれは半分やり返しました」
2月26日。聖地ウェンブリーでのイングランド・リーグカップ決勝。吉田が所属するサウサンプトンはマンチェスター・ユナイテッド相手に互角以上の戦いを演じたものの、終了間際のイブラヒモビッチの決勝弾に沈み、2-3で敗れた。惜しくも頂点には立てなかったが、世界トップレベルのストライカーと堂々と渡り合った90分間を、吉田はこう振り返る。
イブラとの対戦は、ネイマールと同じ感覚だった。
「ああいう世界的なFWは、どれだけマークについても最後に結果を出してくる。勝負を決める選手だからこそ、その地位にいる。ネイマールと戦った時と、同じ感覚を味わいました。良いプレーをしても、決勝は一発勝負で内容より勝つことが大事。あの試合は、結局僕もサウサンプトンもサポーターも、みんなどこか舞い上がっていたところがありました。点差だけでなく試合内容からも、みんなあと少しで勝てたと言ってくれるけど、ユナイテッドやモウリーニョ監督、イブラヒモビッチはこういう試合を何度もくぐり抜けてきているからトップに立っている。
試合自体は、流れの中でやられた感じはほとんどなかった。でもイブラヒモビッチは賢いなと思いました。運動量は決して多くないけど、力を抜く時とスイッチを入れる時をすごく使い分けている。無駄な力を使わないんです。守るこちら側も、相手は大きくて体が強くてリーチもあるので、最初のコンタクトから普通に守るとかなり厳しいと感じました。だからその後は工夫して、体を先にぶつけるようにした。向こうからぶつけに来た時は、あえて体を当てなかったり。もう1回五分五分のボールが来た時は体を当てに行くふりをして、彼のバランスを崩すことに成功した。そしてセカンドボールを僕が拾いました。イブラヒモビッチとの球際、デュエルのところでは、毎回違うアプローチをしていきましたね」