スポーツ百珍BACK NUMBER
神の足・鈴木尚広が語る盗塁と一芸。
「意外と打ってるんですよ(笑)」
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byHirofumi Kamaya
posted2017/02/27 08:00
現役時代は「神の足」という異名を誇った鈴木尚広さん。2016年はなんと盗塁成功率100%、惜しまれながら引退した。
年齢を重ねても、走る力は衰えない!?
――鈴木さんはプロ生活の中で、どんなプランを持ってトレーニングに取り組んできましたか?
「入団して1年目は、先輩たちと比べてパワーもスピードも圧倒的に違いました。それこそ最初は『わ~、本当にすごい所にきてしまったな』と思いましたよ(笑)。だからこそ最初はウエイトトレーニングで体を大きくしようと、アウターマッスルを鍛えていきました。ただそれだけだとケガが多くなってしまうのでインナーマッスル、体の中の筋肉を鍛えるようになった。そして現役最後の3年間は“自分の体を滑らかに動かす”トレーニングが中心。3つの段階を、20年間の中でやってきました」
――「体を滑らかにする」とは?
「自分の中で体の動かし方を想定して、いかにイメージ通りに、滑らかに動かせるように細分化していくイメージです。“運動センスがある”という言葉がありますが、そういった人の特徴は、自分の体を上手く動かせる点にある。そのセンスを磨くことで、潜在的な部分にアプローチをかけていくんです。それは筋肉だけでなく、自分が動きやすいための神経を作っていくトレーニングでもありましたね」
――年齢を重ねると走力は衰える、というイメージがあるのですが、鈴木さんはいかがでしたか?
「うーん、むしろ衰えなかったですね。滑らかに体を動かすことができれば、出力というのは効率化できるんです。無駄な動きが出てこなくなるので」
――試合前の練習内容は、やっぱり他の選手と違うことをするんですか?
「例えば、全体練習が14時半から始まるスケジュールだとします。その場合、僕は11時前に来て、自分の体を滑らかに動かす体幹トレーニングや、安定したブレのない走り方という体作りをしていましたね。ほぼ毎日2時間そのトレーニングをやってから全体練習に入るって感じでした」