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神の足・鈴木尚広が語る盗塁と一芸。
「意外と打ってるんですよ(笑)」 

text by

茂野聡士

茂野聡士Satoshi Shigeno

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photograph byHirofumi Kamaya

posted2017/02/27 08:00

神の足・鈴木尚広が語る盗塁と一芸。「意外と打ってるんですよ(笑)」<Number Web> photograph by Hirofumi Kamaya

現役時代は「神の足」という異名を誇った鈴木尚広さん。2016年はなんと盗塁成功率100%、惜しまれながら引退した。

実は高い打率に「意外と打ってるんですよ(笑)」

――そういった走力系のトレーニングに励む一方で、実は打撃成績も高いですよね(2008年には規定打席未到達ながら打率.304をマーク。プロ通算打率は.265)。

「そう、意外と打ってるんですよ(笑)」

――打撃が好調だった時に、レギュラーになりたいなと思ったこともあるんじゃないですか?

「自分の立ち位置っていうのは、走塁でしたから。その勝負所で僕が出ることで、チームの中でも効力を発揮できる。自分はそこで生きていこうと決めたので、ある程度バッティングは捨てていました。
 何というか、立ち位置としてチームに求められてるところと、そうでないところがあるわけじゃないですか。決して打撃を疎かにしているわけではないんですけど、比重が違うということです。1つの物事に特化すると、別の部分は削らなければならない。もちろん守備もバッティングも高いレベルにあればレギュラーでずっと出られているはずですが、そうはいかないから、走る方を上に、上に伸ばしていくという考え方でいました」

――その考え方に辿り着いたのはいつ頃でしょうか?

「入団した頃から、足が自分の武器だとは思ってはいました。だからプロに入ってからは左打ちに変えたりして、何とか自分の特徴を出そうと全力を尽くしてきた。ただ、新しい選手が入ってくることで、控えに回り、代走の機会が増えてきた。その中で自分の魅力を再確認といいますか、“この立場で生きていこう”という風に変化しました。その考えに至ったのは2011年頃でしたかね。走塁で必要とされる人間になれば、必ず一軍に残れるんだなと思ったので。葛藤はあったけど、シフトした。そういった感じでしょうか」

――特化した甲斐もあって、鈴木選手が代走で出ると東京ドームが沸いて、対戦相手にプレッシャーをかけるような雰囲気ができていました。代走で出た瞬間、自分に対する期待値、プレッシャーなどは感じてましたか?

「気持ち悪くなるくらい、プレッシャーはありましたよ(笑)。でもその反面『しっかりとしたパフォーマンスと結果を出していきたい』という期待感、ドキドキワクワクがありましたね。攻撃がしやすくなる、点数も入りやすくなる状況をファンの方が作ってくれましたし、それがチームにとってプラスになったのは成功ですよね。プレッシャーは感じていたけど、そのプレッシャーに負けない自分も作り上げることができました」

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