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「カズ」って本当はどんな人?
50歳現役の秘密に迫る!
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byAtsushi Kondo
posted2017/02/23 07:00
10代20代の選手にも当たり負けしない試合中のカズ。魂のプレーが、それを現実のものとしているのだ。
自主トレは、年を追うごとに長期間になっており……。
グアムでの自主トレキャンプは、年を追うごとに期間そのものが長くなっただけでなく、1日1日のメニューのうち、トレーニングやリカバリーに充てる時間がどんどんと長くなっている。
朝5時30分に起きての3部練習で、就寝は夜10時。今オフ、カズはこの極めてストイックな生活を、2回に分けてトータル5週間行った。トレーニングへの意識、体のケアに対する意識は、並大抵のものではない。
グアムキャンプの後半、カズは自分の歩んで来た道を振り返って、こう話した。
「たったひとつのことを続けることって、尊いことだと思う」
この言葉は、今号のロングインタビューの聞き手・一志治夫さんの「他にやりたいことはなかったのか」という問いへの答えでもあった。
対談で言葉を交わした中田さんも、同じ疑問を持っていた。
編集者である私も以前、毎日練習場で行うトレーニングを指して「飽きることはないのか」と訊ねたことがある。
答えは、NO。
いつも新しい発見があり、楽しいのだ、と言う。
「俺を追いかけるなら、今が一番面白いよ」
忘れてはいけない。カズが続けているのは、常に対人接触があり、身体をフルに酷使する仕事、ボールを扱う仕事だということを。そして、自分の子供と同じような年齢=10代の選手と同じ立場で同じフィールドに立つチームの一員であることを。
50歳でそれを続けていくことの、ありえないほどの難しさを、私たちは想像しなくてはならない。
カズが昨年末、こう話したことが深く印象に残っている。
「俺を追いかけるなら、今が一番面白いよ」
実際のところ、これまで三浦知良というサッカー選手が成し遂げてきた数々の栄光と、そこに至る苦難の道を振り返ることは、とても「面白い」。数々の名シーンが思い出され、観客である私たちの心は熱くなる。
でも、カズにとってそれは過去でしかない。今を生きる自分にとって一番面白いのは、何が起こるかわからない「今」なんだよ。そうカズは、話すのだ。