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「この道を行けばいい」という感覚。
松山、石川、ウッズそれぞれの視野。 

text by

舩越園子

舩越園子Sonoko Funakoshi

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photograph bySonoko Funakoshi

posted2017/02/01 11:30

「この道を行けばいい」という感覚。松山、石川、ウッズそれぞれの視野。<Number Web> photograph by Sonoko Funakoshi

昨年秋の絶好調は一息ついた松山英樹だが、それでも決勝に残る底力はさすが。前進していれば、視界が開ける瞬間は必ず来る。

視界が開ければ「優勝」の2文字も口にできる。

「優勝するために挑んでいる」

「すべてのピースを寄せ集め、4月の第1週(=マスターズ)に合わせて準備万端にする」

 ウッズが「見えた」と感じたものは、ウッズにしか見えない代物だ。それが見えない間は、文字通りの暗中模索だった。

 それが「見えてきた」、「見える」、「見えた」と感じられるためには、肉体や技術に確かな手ごたえを感じることが前提になる。ウッズの場合は、「体が強くなっている」と実感できたこと。その実感が契機となり、彼の視界は開けていった。

 ひとたび視界が良好になれば、そこから先は波に乗っていけそうだと思えてくる。自信が膨らみ、頑張れそうだと思えてくる。数日前は口にできなかった「優勝」の2文字も、臆せず言えるようになる。

「見えた」からこそ――そんなウッズと同じような現象が、石川遼にも見て取れた。

石川遼にも「優勝のライン」が見え始めた。

 腰を痛め、昨年2月から米ツアーを長期欠場していた石川も、ウッズと同じ2017年カムバック組の1人だ。すでに先々週はキャリアビルダー・チャレンジを4日間戦い、先週はトーリーパインズで今年の2戦目を迎えた。

 山谷を経て米ツアーに戻ってきた石川は、以前は見えなかった「予選通過のライン」「優勝のライン」が見えるようになったと語り、道筋が明確明瞭になったからこそ、その道の上を軽やかに走り始めている。

 初日は「パットのラインが見えない」とグリーン上で試行錯誤していたが、明確に見えていた予選通過のラインは2週連続できっちりクリア。その中でショットの調子を着実に上げていき、3日目には「いいスコアを出せる雰囲気が、以前はゼロだったけど、今はある」と、道筋のみならず光明も見出していた。

 それは、ウッズが感じた「新しい感覚」と似たものなのだろう。石川が「感じた」「見えた」という雰囲気は、最終日には周囲からも見えるものになって表れた。

 次々にピンに絡んだアイアンショットは「何でこんなにいいのかな」と自身が首を傾げるほど好調で、「PGAツアーでこの内容で4日間できたのは、記憶にないぐらい。もうちょっとでゾーンだった」と、うれしそうに振り返った。

「このツアーで、戦えていると感じる」

 ウッズも石川も、「見えた」からこそ――なのだろう。

【次ページ】 では今、松山英樹の視界はどうなっているのか。

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