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山田直輝の復活を誰よりも願う盟友。
1歳下の原口元気が「早く試合出ろよ!」
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/01/30 11:00
ボールテクニック、運動量、そしてひらめきのバランスが山田直輝の中で再構成され始めている。2度目のブレイクの時は近い。
風間八宏らと共にプレーした父のように。
父親の隆さん(56)は日本リーグ時代に小林伸二(現・清水エスパルス監督)、風間八宏(現・名古屋グランパス監督)らとマツダ(サンフレッチェ広島の前身)で左MFとしてプレーしていたが、直輝が生まれた年にケガの影響で現役を引退。今でも「お父さんのプレーを見たかった」としみじみ話す。
デビュー当時から尊敬するサッカー選手を尋ねられると、「父の山田隆」と即答してきた。小学校時代には少年団のコーチとして基礎を教わり、持ち味の強気な縦パスは「父の指導のおかげ」と回想する。今でもサッカーの厳しい目を持った良き助言者だと言う。
隆さんはピッチで躍動する息子の姿を見て、誰よりも喜んでいるようだった。「まだ完全ではないが、感覚は戻ってきている。自信を取り戻したのが大きい」と声を弾ませる。
お世辞を言えない原口が「いけそうだな」と。
そして、もう1人。山田の復調気配を感じ取り、期待を寄せるのが原口だ。フットサルで一緒に汗を流した後、お世辞を言えない男が「いけそうだな」とひと言漏らした。
山田はこの何気ない言葉で「良くなっていることを実感できた」と少し表情を崩した。一歩も二歩も先を行く後輩の後ろ姿は、しっかり視界に捉えている。遠い目では見ていない。ドイツに戻る前に言うことは言っておいた。
「代表のポジションを奪ってやるから待ってろよ!」
J2からライバルの原口が待つ舞台へ。2017年は、勝負のシーズンとなる。