オリンピックへの道BACK NUMBER
女子ジャンプは高梨沙羅だけじゃない。
今季絶好調、伊藤有希の“五輪観”。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byShino Seki
posted2017/01/05 11:00
12月18日の吉田杯では、同飛距離ながら飛型点で高梨沙羅を上回るジャンプを見せた伊藤有希。
一度飛んだジャンプ台ならば、不安はまずない。
悔しさの一方で、特別な舞台なんだと感じられた。だから、平昌五輪を思う。
「(具体的な目標は)もちろん金メダルです。どこまで目標に近づいてきているか? それは、金メダルを獲るまでは言えないと思います」
10月には、葛西らとともに平昌の競技会場で合宿を行なった。
「一回飛んだことのあるジャンプ台とないジャンプ台では違います。飛んだことがあれば、どんな台だろうという不安はまずないですし、そういう意味で一回経験できたことは自分にとってはすごく収穫でした」
平昌五輪のためにも重要となるのが今シーズンだ。
「先シーズン、試すことはほぼやってきました。今シーズンは固めていく時期です。仕上げというか、自分の求めるジャンプに近づいていければ。そして来シーズン、自信をもって過ごせれば最高じゃないかと思います」
葛西は以前、「何度も苦しいときはあったと思います」と伊藤について語っていた。
それでも、小学生の頃から変わらない折り目正しい姿勢、気風がいい話しぶりで誠実に人々と接してきた。
その内に秘めた闘志とともに、先を見据える。